TURN136 帰還その四
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「日本達に助けられたな」
「全くです」
「あいつ等にでっかい借りが出来たな」
「受けた恩は必ず返さなければならない」
ここでこう言ったセーラだった、それも毅然とした声で。
「それが真の誇りです」
「だよな、俺も女王さん達にいつも言ってきたよな」
「私もマリーも幼い頃から」
「エリザさんにも言ってたんだよ」
セーラとマリーの母である彼女にもだというのだ。
「王族、特に女王はな」
「真の誇りの為にですね」
「受けた恩は忘れたらならないんだよ」
「絶対に」
「そうだよ、だからな」
それでだというのだ。
「日本達に返そうな」
「この恩を」
「後な、ここに来てから徐々に考えてることだけれどな」
「講和ですね」
セーラからこの言葉を出した。
「それですね」
「それだよ、もう戦っても意味がないだろ」
「はい、既に勝敗は決しています」
エイリス本国のみになってしまっている、それではだ。
「最早」
「そのこともあるしな」
「あの方々ならですね」
「講和してもな」
「寛大な条件を出してくれますし」
それにだった。
「ロンドンを戦火で覆わせることも」
「避けたいしな」
「講和、ですね帰ったら」
「ああ、それにもっていこうな」
「最早我々の負けです」
認めたくない現実だがそれでもだった、今のセーラはその現実を自分でも不思議な程穏やかに受け入れることが出来た。
そしてだ、こうイギリスに言うのだった。
「では後は」
「平和になってな、それからだよ」
「エイリスの復興ですね」
「もう植民地もいらないさ」
イギリスはあえてこのことも話した。
「女王さんももうわかってるだろ」
「確かに。現地民を苦しめ貴族の利権になっているだけです」
「叛乱は起こるしそれの対処への軍も必要だしな」
「最早植民地はエイリスにとって何にもなりませんね」
「世界帝国の座からも降りてな」
「欧州の一国として」
セーラは微笑みさえ浮かべてイギリスに述べた。
「そうあるべきですね」
「そう思うよ、じゃあな」
「はい」
セーラもイギリスの言葉に微笑んで応えた、そうして。
彼等もまたこれからのエイリスを見出していた、この何処かわからない世界の中でそれがわかってきたのだ。
だが今の星域でもだった。
「まだ見つかりませんか」
「ああ、残念だけれどな」
イギリスは苦い顔でセーラに答えた。
「あそこでもなかったよ」
「そうですか」
「まあそれでもな」
「希望は捨てないで、ですね」
「諦めたらな」
それこそだとだ、イギリスはセーラにこのことも話した。
「それで終わりだからな」
「よく言われていることですね」
「そうだよ、だからな」
「ここは諦めずに」
「次の星域だよ」
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