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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百八話 クーデター
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しいですね、自治領主閣下。貴方は役に立たなくなったサンフォード議長を切り捨てただけじゃありませんか。それを恩に着せて交渉の主導権を取ろうとするとは……、笑わせないでください』
彼方此方から失笑が漏れた。ボルテックが苦虫を潰したような顔をしている。
『同盟政府はフェザーンが地球教の根拠地だと考えています。自治領主府は地球教の手先だと。その疑惑が払拭されるまでは救援など無理ですね』
『我々は地球教とは無関係だ!』
ボルテックが吐き捨てるような口調で地球教との関係を否定した。それを見てまたヴァレンシュタインが露骨に嘲笑した。
『貴方は長老委員会で選ばれて自治領主になった。地球教はその長老委員会を支配下に置いている。そして代々自分達の言う事を聞く奴隷を自治領主にしてきた。貴方もその奴隷の一人だ。それでも無関係ですか?』
皆が顔を見合わせた。ボルテックの顔が強張っている、どうやらヴァレンシュタインの指摘は事実らしい。
『私は彼らとは手を切った! これは本当の事だ! 信じてくれ』
『無理です、貴方がどれほど無関係だと言っても信じることは出来ません。信じて欲しいなら行動で示してください』
手を切った可能性は有る、だが事実は分からない。ヴァレンシュタインの言う通り信じることは出来ない。しかし行動? 一体何を……。
『……私に何をしろというのだね』
唸るような口調で問い掛けてきた。
『二つあります。先ず一つは同盟政府が発行した国債、約十五兆ディナール。それと帝国政府が発行した国債、約十二兆帝国マルク。これらを全て同盟政府に譲渡する事……』
会議室の中が凍り付いた。皆固まっている。ボルテックは眼が飛び出そうな表情だが彼も凍り付いている。
『……馬鹿な、そんな事は』
『出来ませんか? 出来なければフェザーンはそれらの国債を利用して同盟、帝国を思うままに動かそうとしていると判断するだけです。救援は出来ません』
『……』
皆が沈黙する中、ヴァレンシュタインが言葉を続けた。
『いずれ貴族連合軍はフェザーンに居座るのに飽きて同盟領に進撃してくるでしょう。ボルテック自治領主、それまで何もせず待つという手も有りますよ』
『……』
『まあ余りお勧めは出来ません。なぜなら同盟軍は貴族連合軍を殲滅した後はフェザーンに進撃し地球教の根拠地であるフェザーンをこの宇宙から抹殺する事になるからです。完全包囲して二カ月間の持久戦の後に全面攻撃……』
『それは……』
ボルテックが喘いだ。ヴァレンシュタインが笑い声を上げた。
『かつてブラック・フラッグ・フォースが地球攻略戦で使用した作戦です。地球にとって最も残酷な結果になったと聞いています。地球教の根拠地であるフェザーンの最後に相応しい作戦でしょう』
皆が凍り付く中、ヴァレンシュタイン
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