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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百八話 クーデター
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議員は如何だろう?」
と推薦してきた。ピエール・シャノン? 国防委員会に所属していたはずだがトリューニヒトのシンパでは無かったはずだ。ターレルは親しいのか……。

「シャノン代議員か、誠実な男だ。……他に誰か候補者が居るかな? 居なければシャノンにするが……。居ない様だな、シャノン代議員を情報交通委員長にしよう。次の最高評議会から参加してもらう事にする」
トリューニヒトの言葉に皆が頷いた。

「これから皆に私が信頼する友人を紹介したいと思う」
ボルテックの事か?
「少々、いやかなり口は悪い、性格もね。だが能力は信頼できる。その誠実さもだ」
ヴァレンシュタインか……。ホアンが肩を竦めるのが見えた。他のメンバーは訝しげな表情をしている。

スクリーンにヴァレンシュタインが映った。他にも軍人が映っているところを見るとどうやら自室ではないらしい。
「やあ、ヴァレンシュタイン中将。忙しいところを悪いね」
『大丈夫です、それほど忙しくは有りません』

ヴァレンシュタインは無表情にこちらを見ている。愛想の無い男だ。こちらが最高評議会の最中だと気付いているだろうが気にした様子も無い。周囲は緊張しているぞ、ヴァレンシュタイン。平静なのはお前だけだ。愛想だけじゃない、可愛げも無い。

「紹介しよう、最高評議会のメンバーだ」
『ヴァレンシュタインです』
トリューニヒトの言葉にヴァレンシュタインが軽く頭を下げた、軽くだ。おそらく不満に思っている人間も居るだろう。筆頭はヴァレンシュタイン自身だろうな、馬鹿共を紹介してどうする、そう思っているに違いない。

「サンフォード議長が失脚した。今は私が暫定ではあるが最高評議会議長になっている」
『……』
ヴァレンシュタインの周囲が驚いている。隣に小声で話しかける者、周囲に視線を向ける者、様々だ。だがヴァレンシュタインが平静を保っている姿に気付くと慌てて驚きを隠した。なるほど、指揮官は常に沈着でなければならないという事か……。

「祝ってはくれないのかね?」
トリューニヒトが幾分不満そうに言うとヴァレンシュタインが口元に微笑みを浮かべた。
『最高評議会議長になるのは手段であって目的では無いと思っていました。目的が達成されていないのに何故祝うのです? それとも私は間違っていたのかな? だとすれば興醒めですが』

皆がギョッとした表情になった。会議室も、スクリーンの中もだ。まさか同盟の最高権力者になった男に期待外れと罵倒する人間が居るとは思わなかったのだろう。トリューニヒトが声を上げて笑い出した。
「君らしい祝辞だな、この程度で浮かれるなという事か」
ヴァレンシュタインの笑みが幾分大きくなったように見えた。この二人、性格の悪さでは甲乙付けがたいな。

「感謝するよ、中将。確かに少し浮
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