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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百八話 クーデター
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ボローンが席を立った。そして会議室の出入り口に向かう。

ドアを開けると私服の男達が六人、中に入って来た。警察関係者だろう、六人とも緊張しているが最高評議会の開催中に入って来たのだ、無理もない。
「サンフォード議長、バラース情報交通委員長、お二人には国家機密漏洩罪、収賄の疑いが有ります。捜査に御協力願います」
ボローンが言ったが二人とも反応が無い、虚脱している。“連れて行きたまえ、丁重にな”とボローンが言うと二人を席から立たせ会議室から出て行った。

二人が出て行くのを見届けるとボローンが席に戻り大きく息を吐いた。一仕事終わった、そんな感じだ。ラウド達は未だ状況が掴めていないのだろう、落ち着きなく周囲をキョロキョロしている。
「サンフォード議長とバラース情報交通委員長の解任動議を出す必要が有るかな? 賛否を問う必要が有るかという意味でだが」
「その必要は無いだろう、ターレル副議長。あの二人が国家を裏切っていたのは事実だ」

ホアンが答えるとターレル副議長が頷いた。
「現状では政治的な空白期間を作る事は避けるべきだろう。我々の中から暫定で最高評議会議長を選出し、フェザーン方面での戦争が終結後、改めて同盟議会に図り最高評議会議長を選出しなおす。そういう事にしたいが」
ターレル副議長が皆の顔を見回す。反対する人間は居なかった。

「では先ず私から推薦させてもらおう。トリューニヒト国防委員長に最高評議会議長をお願いしたい」
ターレルがトリューニヒトを推薦するとラウド達がギョッとするのが分かった。聞き間違いとでも思ったのだろう。頻りにターレルとトリューニヒトを見ている。

「賛成する」
「私も賛成だ」
「トリューニヒト国防委員長にお願いしたい」
私、ホアン、ボローンが口々にトリューニヒトを支持するとラウド達の顔が強張った。我々が事前に根回ししていた事、これが周到に準備されたクーデターだと理解できたのだろう。四人が顔を強張らせながらトリューニヒト支持を表明した。

全員がトリューニヒトの議長就任を支持した。トリューニヒトが席を立ち神妙な表情で“責任を持って議長の職責を果たしたい、同盟は今難しい状況に有る、これからも皆さんからの御助力を頂きたい“と言うと皆が拍手をしてトリューニヒトの最高評議会議長就任を祝福した。席に座ったトリューニヒトの頬に赤みが差した。

「さて、先ずは欠員となった国防委員長と情報交通委員長の後任者だが混乱を避けるためにも国防委員長は私が兼任したい、如何かな?」
トリューニヒトの提案に皆が頷いた。フェザーン方面で戦争が始まるのだ、今この時点ではトリューニヒトの提案がベストだろう。

「情報交通委員長だが誰か適任者が居るかな?」
トリューニヒトが問い掛けるとターレル副議長が
「ピエール・シャノン代
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