ターン2 鉄砲水と変幻忍法
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んなのまぐれだ、覚えてろ!」
最後の最後まで小物臭たっぷりだった後輩が投げつけた宵闇の使者を空中でキャッチし、ずっとその様子を見ていた本来の持ち主に向き直る。なにか怖い人が近づいてきたかのようにびくっとされたのはまあ、見逃しておこう。初対面だしね。だけどちょっとショックだったり。
「えーと……君の、だよね?」
「は、はい」
「いや、そんな身構えなくても何もしないよ。ホイ」
無論人のカードを投げつけるような真似はせず、なるべく丁寧に目の前に差し出す。宵闇の使者と僕の顔を何度か見てから、そっと彼女も手を伸ばした。
「ありがとうございます………」
「ん、いいってことよ。別に気にしない…………で………ね……」
セリフの途中、廊下に響くチャイムの音。それを聞いて、僕の顔がさあっと青くなったのが見なくてもよくわかった。
『なあチャクチャル、最近お前毎日学校来てるんだからわかるだろ。まだ授業じゃねーし、あれ何?』
『説明しよう。あの音は、購買に置いてあるその日のドローパン及びあらゆる食料が完全に売り切れたことを示す、昼の糧を準備していなかったものに対する絶望の音なのだ』
『なるほどな。んで、なんでそんなハイテンションなわけ?』
『この時間帯は必ずアカデミアに昼を食べ損ねた者の絶望が感じられるからな。一応とはいえ邪神たる私としては大変気持ちがいい』
急に顔色を変えた僕を心配そうに見る女の子。そしてよく見ると、その手にはドローパンが入ったレジ袋。………よし、前言撤回。今まさに放そうとしていた宵闇の使者を持つ手にぐっと力を込める。
「え?えっと、あの……」
「僕とデュエルしよう?アンティルールで、君が勝ったらこのカードは返すよ。だけど僕が勝ったら、その時はそのドローパンをそっくり頂くってことで」
『うわ、人間のクズだ』
自分でも割とひどいこと言ってるなあ、とは思う。ただしこちらも今日の昼ごはんがかかっている死活問題、買えませんでしたーなんて言おうもんなら十代たちに申し訳が立たない。
その迫力に押されたのか、それともよっぽど宵闇の使者が大事なのか。ともかく彼女は、半ば押し切られるようにコクリ、と頷いた。これで後は、僕が勝つだけだ。と、その前に。
「君、名前は?僕は遊野清明、見ての通りの2年生だよ」
「私ですか?私は、葵。姓が葵で名がクラ。葵クラと申します。いざ!」
「「デュエル!」」
今度は僕の後攻。まあ確率は二分の一だし、筋は通ってる。それに後攻ならドローできるし、そう悪いことばっかりでもない。
「私の先行。自分の場にモンスターが存在しない時、フォトン・スラッシャーは特殊召喚されます」
フォトン・スラッシャー 攻2100
「そして、このスラッ
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