第五章
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第五章
「宜しいでしょうか」
「うむ。どんな料理だ」
「はい、鶏を使ってきました」
そうした料理だというのだ。
「それを召し上がって頂きたいのですが」
「鶏か」
それを聞いてだ。山原は考える顔になった。
そしてそのうえでだった。こう彼に言うのであった。
「いいだろう。それではな」
「簡単な料理ですが」
「よい、それで何を作ったのは」
「かやく御飯です」
それだというのだった。
「それを作りました」
「そうか、かやく御飯か」
「それで宜しいでしょうか」
「構わん。それではな」
「はい、それでは」
こうしてであった。そのかやく御飯が彼の前に出された。見事な黒い箸と茶碗は山原が作ったものである。その中にそれはあった。
そしてだ。彼はその茶碗を手に取りそうして橋で飯を取りだった。口に入れるのだった。
そうして一口また一口と食べていく。するとだった。
山原の前に控えている料理人がだ。彼に問うてきたのだった。
「如何でしょうか」
「見事だ」
鷹揚に答える山原だった。一旦茶碗を置き箸もそうしてから述べた。
「まず飯だが」
「はい」
「ササニシキだな」
それだというのだった。
「かやく御飯は飯が固めがいいがそうしているな」
「はい、その通りですね」
「そのササニシキの素材を殺さずに見事に炊いている。それにだ」
彼は言葉を続ける。
「醤油もいい。じっくりと寝かしたしっかりとしたものだったな」
「・・・・・・・・・」
彼は喋らない。山原はそれに構わず言っていく。
「野菜も無農薬のそれを選んだな。それに肝心の鶏だが」
「はい、それは」
「名古屋のものだな」
こう言った。
「名古屋コーチン、そこから厳選して選んだか。それだけの味だな」
「いえ」
「いえとは」
「この鶏はです」
彼は山原に対して言うのだった。
「ブロイラーです」
「何っ！？」
「スーパーで買ったブロイラーです。それです」
「まさか」
「そして米は古古米です」
それだというのだ。
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