アリシゼーション編
episode1 隠された真実
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う、ベッドに座る俺の横に、当たり前のように控えた牡丹さんが言う。なんとか人前で「ご主人様」と呼ぶことだけは俺の必死の抵抗によって禁止したものの、この状況では。皆の目にどう映っているかを想像するだけで恐ろしい。
「ブロッサムさんも座れば? 一応それなりに広い部屋じゃん?」
「いえ、私はこのままで。飲み物のお替りをお持ちしてまいります」
「あ、ああ、ありがと」
そんな彼女にフランクに話しかけたのはツカサだったが、返答に若干ひいていた。致し方あるまい。何かを察したのか、聡明な彼女はそれ以上深くは追及してこなかった。彼女の振る舞いは明らかに「恋人の友人に対する彼女の対応」という言い訳でごまかせないレベルだということは皆分かっていただろうが、モモカがいた手前誰も掘り返しはしなかった。ちなみに俺は既にこの段階でもう深く考えることをやめていた。
助け舟を出してくれたのは、ファー。
「そ、それにしてもシドさんの部屋って片付いてるんスね! オイラなんてすぐ部屋がゴミ屋敷ッスから、うらやましいッスよ!」
「……まあ、割と寝るだけに近いしな、この部屋」
「ファー君、これが普通だなんて思っちゃいけないよ? そんなことだとカノジョできて部屋に遊びに行ったときに幻滅しちゃうからね?」
「ツカサの部屋は汚すぎです」
「ミオンの部屋だってごっちゃごちゃじゃん? スペースないくせにオレたちの入賞のモデルガンとか大事に飾っちゃってさ」
「ふむ、まあ気持ちはわからないではない。それにしてもこの家は殺風景だな。生活用品しかない」
「ぬいぐるみとか置かないんですか? ALOのモンスターデフォルメとかカワイイのいろいろありますよ、シドさん! 私もいくつかもってますもん!」
「……いや、それはさすがにな」
「……こんな大男の部屋に、ぬいぐるみ……」
……即座に全員が乗ってくるあたり、この集まりも随分馴染んだものだ。
それにしてもファー、絶妙に地雷の横を突いてきやがる。俺の部屋が片付いているのは、言うまでもなく牡丹さんが家事全般をこなすからだ。牡丹さんはそういった自身の仕事をことさらにひけらかすような人間ではないので、特に口を挟まないでくれているのが救いだ。
それ以前の……まだ牡丹さんに会う、前は。
(きれいな部屋、ね……)
一人部屋を持っていた頃……つまりはSAOの中にいた頃の俺の部屋は、それなりにごちゃごちゃとしていた。適当な資料やらアイテムやらをそこらに放り出していたというのもあったし、こまめに装備をストレージやロッカーにしまうほどまめな人間でもなかったというのもある。
ただ、それ以上に。
―――ねえっ、これかわいくないっ!?
―――レミたんが作ってくれたんだよっ!
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