第14話 男の直球勝負!野球の華は大逆転
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かった。今度こそスタンドへ叩き込んでやる!」
「偉い自信みたいだけどあの程度で俺の癖を見抜いたと言い張るんだったら、まだまだ甘いぜ」
そう言って、再度ピッチングフォームに入った。それを見て番もまたバットを構える。再び番は本能的にバットを振るった。今度はピッチャーの投げる姿勢すら見えなかった。そして、番の手に伝わってくる痛みもまた最初の時以上に痛みが走った。
(またか、それにさっきの以上に腕が軋みやがる! 何て球なんだ)
痛みが伝わる手をじっと見つめて番は顔を強張らせた。今度の球は遥か後方へと飛んで行き、其処で地面に落ちた。これもまたファウルボールだった。
「やるねぇ、今度のこれも打つなんて、こりゃちょっとお前の事を見くびってたみたいだ」
「へへっ、そりゃどうも」
「だけど、今度の球はあんたじゃ打てないね。断言するぜ! 最後の投球であんたを討ち取る!」
「何!?」
先ほどの余裕の笑みから一変し、その表情には真剣さが伺えた。まるで戦に望む戦士の様な顔だった。
「おいキャッチャー、其処から離れてな。今度の球はお前達じゃ取れないからよ」
「分かったよ兄ちゃん。へへっ、出るぞ出るぞぉ。兄ちゃんの稲妻がぁ」
またか、一体何なんだ? その稲妻ってのは。
再び子供達の会話から出て来た稲妻と言うフレーズに番の緊張が高まる。一体何を意味しているのか。
そんな番を他所に三回目のピッチングが行われた。今度の投球は先の二球とは違いゆっくりと行われている。それこそピッチャーが球を投げる寸前まで番の目にはしっかりと目で捉えられた。
だが、その次の瞬間であった。投げた球が有り得ない動きを見せたのだ。
最初は右に動き、今度は左に急旋回する。かと思えばまた右に、そして左に。その動きはまるでジグザグだった。
しかもその動きが高速で行われたのだ。
「な、何だとぉ!」
仰天した番。思わずバットをスイングしたが、番の振るったバットにボールは掠りもせず、そのままキャッチャーが座っていた地面に深く突き刺さり地面にめり込んで行ってしまった。
番の完全なる三振。俗に言うバッターアウトであった。
「な、何だ……今の球は?」
「言っただろ。あんたを討ち取るって。今見せたのが俺の奥の手。その名も【稲妻投法】だ!」
「い、稲妻投法……だと!」
「その名の通り、まるで稲妻の様に球が走る事を意味しているのさ。この投法は人間じゃまず打てない。無論、取る事も出来ない。その破壊力は後ろを見れば明らかだろ?」
番は後ろを振り向き、ボールがめり込んだ地面を見た。その穴は深く、下手したら1メートル近くは潜っている可能性すらある。硬球のボールを使って此処までの事が出来るとは、恐れ入ったとしか言い様がない。
下手に取ろうとすればそれこそキャッチャーのドテッ腹に
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