第14話 男の直球勝負!野球の華は大逆転
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た最後の一球。その動きはまるで稲妻の様に予測不能の動きをした後、キャッチャーの居た場所の地面にめり込んで行くボール。その動きを何度も番は脳内で見返していた。
(確かに、奴のあの稲妻じみた動きを予測する事は無理だろう。だが、確実に何処か穴がある筈だ。きっと何処かに……)
その時、番はある事に気付いた。ピッチャーの放った一球。その軌道は稲妻じみた動きをしているが、最後には必ずストレートの位置に球が訪れる事に番は気付いた。
だが、其処に到達して過ぎ去るまでの時間はおよそ0.05秒程度しかない。
つまり、少しでも見誤ってしまったらアウトと言う事になる。
(奴はこの稲妻じみた投球をした際、最後には必ずストレートと同じ位置にボールを収めるように投げている。其処がスイングするチャンスって奴か。だが、時間的にはたったの0.05秒程度しかない。チャンスはほんの一瞬。しかも、稲妻投法自体が恐ろしいスピードを誇っているから実際には0.05秒もないかも知れねぇ。だが、穴は分かった。後はこれを完璧に討ち取れるまで頭の中で練り上げていくだけだ!)
それから番はひたすらに頭の中で幾度も野球少年の最後に投げた稲妻投法を模写し続けていた。番の脳内ではバットを構えた番が少年の投げる稲妻に対してひたすらにバットを振り続けていた。
時に外し、時にヒットしたがバットがへし折られ、更には当てようと身を乗り出したが為に体に稲妻が突き刺さり胴体に風穴が空いてしまった。
そんな感じで幾度も幾度も対稲妻投法イメージトレーニングを行い続けていた番は、何時しか深い眠りの中へと落ちてしまった。
目の前に広がるのは幾度も自分の体に突き刺さる一筋の稲妻。この稲妻をどうすれば退ける事が出来るのか?
(駄目だ、何度も試したがどんなに打ち返そうとしてもそれよりも前にバットがへしゃげちまう。これじゃ確実に二球目の稲妻で俺は討ち取られちまうじゃねぇか! どうすりゃ良いんだ?)
悩み続ける番。一体どうすればあの稲妻投法を克服できるのだろうか。悩めば悩むだけ番の体にはその稲妻が突き刺さって行く。そして、その度に少年の黒い笑みが番の目の前に広がっていくのが見えた。
無念にもその場に膝をついてしまった番。男にとって敵の目の前で膝を突く事は敗北を自ら認めた事を意味してしまう。それ程までに男にとってそれは屈辱的な事だったのだ。
(どうすれば良いんだ。どうすればあの稲妻を克服出来る? どうすれば―――)
悩む番の脳裏にふと、セピア色の風景が映し出された。それは、番がまだ幼かった頃。生まれて初めて見た雷に驚き腰を抜かしてしまった番に対し祖父が言った言葉であった。
『良いか番、男が自然の力に打ち勝つ為には己の全力を尽くして挑まにゃいかんのじゃ。決して引き下がってはいかん。寧ろ一歩前へ足を踏み出し、
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