暁 〜小説投稿サイト〜
少年少女の戦極時代U
オリジナル/未来パラレル編
第28分節 強さ⇔弱さ
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()()()()()()。また一つ苦さを伴って思い出す。月花が、咲がピンチの時は、必ず葛葉紘汰が来てくれた。

『――、下らん』

 月花と鎧武は同時に金色のオーバーロードを見返した。
 だが、臨戦態勢のこちら側とは裏腹に、戒斗は白い祭服の人間態に戻った。

「貴様らは弱くなった。葛葉紘汰、さっき俺を射ようと思えば射られたはずだ。室井咲を助けることを優先しなければ。そして室井咲。攻撃中に別のことに気を取られるなど、強い弱い以前の問題だ。あるいは貴様らであれば俺の脅威となるかと考えたが、見込み違いだったな」
『そう……そんなにあたしたちに負けるのがこわかったの』

 戒斗が眉を潜める。

『ちがった? だからわざわざ2回もあたしたちにセッショクして、しかも1()()()()()()()()()()()んじゃないの? 弱いのはどっちよ。えらそうにコーシャクたれないで。この、弱虫』

 戒斗は射殺さんばかりの眼光を月花に向けた。月花も、パルプアイ越しながら睨み返した。

「……好きなだけ吼えろ。どの道、貴様らに時は残されていない」

 戒斗が踵を返した。歩いていく先に、迎え入れるようにクラックが開く。

『待て!! 戒斗!!』
「止められるかは、お前ら次第だ」

 戒斗はほんの微かにふり返った。横顔には薄い笑み。小馬鹿にしたとも、期待いているとも取れる。

 今度こそ戒斗は前に開いたクラックに入って行った。クラックは戒斗が潜るや閉じ、追うことは叶わなかった。
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