Episode 4 正体
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「灰色の……雪?」健はたずねた。雪といえば普通は白である。聞き慣れないワードに健は、首を傾げた。
「………成功…していたの……ですね……。」
「成功?いったい何の…ってどうした?」
突如泣き出してしまった聖に健は、どうしていいか分からなかった。彼女は少し経ってからこう続けた。
「ぐすっ…大丈夫です。心配には及びません…っ。」
「では、健兄さんに何があったのかをお話しします。」
「あるところに、二つの家族がいました。」
「一つはどこにでもいるごく普通の家族、師走家。」
「一つは、両親は世間からマッドサイエンティストと言われ、世間から白い目で見られる家族、皐月家。」
「マッドサイエンティスト……?」健は、自分の名字に反応する。しかし、聖は気にせず続けていく。
「二つの家族の長男は、二人とも同じ南夏大に入学しました。」
「しかし、その年のクリスマスイブ、悲劇は起こりました。」
「突如、空から巨大な隕石が落下しました。」
「その落下地点となったのが国立南夏大。」
「死者数千人。負傷者数万人とも言われるこの災害で南夏大は崩壊。」
「その建物の破片などが、近隣に飛散し、それはまるで灰色の雪のようでした。」
「これが戦後最大とも言われた大災害、通称『灰色の雪』事件です。」
「…ちょっと待ってくれるか?そんな大災害、俺の記憶にはないんだが……」
健は聖の話を遮り、たすねた。
「そんな事、忘れる訳ないだろう?」
「そうですね。『普通なら』忘れるはずありません。」聖は続けた。
「だって兄さんはその事件で死んだんですから。」
その言葉に健は、言葉を失う。
「………………は?」
「ですから、兄さんは『死んだ』んです。」
「いやいや、じゃあ今君の目の前にいる俺は誰なんだよ?」
「兄さんですが。」
「わけがわかんねぇ…。」
「…つまりですね……」聖が話を戻す。
「その事故で私の兄さん、師走天(そら)、そして、皐月家の長男、皐月健は大けがを負いました。」
「その後、病院へ搬送された二人ですが、天兄さんは脳に大きなダメージを負い、植物人間になっていました。」
「一方、健さんは、脳は無事でしたが、四肢を失った状態でした。
「それぞれの家族にそれが伝えられると、師走家の母親は泣き崩れました。」
「しかし、皐月家の両親は『健の脳だけ保存できないか』と言い出したのです。流石マッドサイエンティストですね。」
「さらに『誰かにこの脳を移植したら、記憶がどうなるのか見てみたい。』と言い出したのです。さすがにこれには医師たちも困惑しました。」
「その時、横にいた師走家の母親が『もし移植したら、その子は普通に生活できるんですか?』なんて聞き出し
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