Episode 4 正体
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て。」
「その結果、なんと師走家の天兄さんの脳を取り出し、そこに皐月家の健さんの脳を移植するというめちゃくちゃな手術が行われました。」
「当然、すぐに意識が戻るはずもなく、皐月家によれば『一年経ったら恐らく意識は回復するだろう』なんて言って。そんな訳ないと思っていたです。」
「ところが、移植された天兄さんの病状は段々回復しているではありませんか。」
「そうして一年後の今日、あのマッドサイエンティストの言うことが正しければ、天兄さんは事故のことを忘れ、大学に行くはずだと思い、会いに行っていたのです。」
健はそれを聞いて何も考えることが出来なかった。
「………つまり、この記憶は皐月健のもので、体は師走天のものってことか…?」
「はい、その通りです。まさか成功するなんて思っていませんでした。また、兄さんに………会えるなんて…………ぐすっ。」すすりなく聖。
「でも、記憶が違うのに…お前の兄さんじゃないのに、どうしてそんな……っ!」
「な…何言ってるんですか…っ。兄さんはどんなであれ、……兄さんですっ!」
そう言って抱きついてきた聖を健はしっかりと支えた。
「兄さんのバカ…何で……どうして……ぐすっ。」
健は、何も言わずただずっと、『妹の』聖を抱きしめていた。
天からは真っ白な雪が降り始めていた。
完
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