暁 〜小説投稿サイト〜
とらっぷ&だんじょん!
第一部 vs.まもの!
第1話 かんおけ!
[5/7]

[1] [9] 最後 最初 [2]次話
その程度の事か?」
「次に、お目当ての遺跡の構造についてだ」
 戦士は眉間に皺を寄せて話しを続ける。
「ここが身分のねぇ自由な町だってのは今話した通りだ。遺跡に潜るのも食うのも寝るのも好きな時にすれば結構。だがその自由を手に入れる為にはまずやるべき事がある」
「何だい」
「ここカルス・バスティードでの正式な居住権を得るには、地下都市『アスラ・ファエル』の一番手前にある『太陽の宝玉』って宝物を取って来なきゃならん。それを手に入れるまでは、お前の居住権は仮のものだ。こいつを見つけるまでは、遺跡でいくら稼ごうとも、一ガルドたりとも持ち出せない」
 ウェルドは頷く。
「何を見つけようが何を金に換えようが、俺のものにはならないって事だな」
「その通り。二大国のお役人どもが決めた事だからな」
 太陽帝国の遺跡を擁する山上の都市、カルス・バスティード。通称『カルスの棺桶』。
 遺跡から発掘される数々の財宝は、二大国に莫大な富をもたらしたが、魔物の出現によって発掘の続行は困難となる。
 二大国は遺跡を囲む壁を作り、魔物を封じ込める――そして、いつしか壁の中には町ができた。
 冒険者たちの町、カルス・バスティードが。
 一攫千金を夢に見て、あるいは遺跡の調査の為、または武者修行の為にこの町を訪れる冒険者から、二大国が吸い上げる利益は馬鹿にならない。つまり、利益に貢献する気のないやる気のない冒険者に町に居座られては迷惑、という事だろう。
 後ろのオイゲンが言葉を継ぐ。
「たとえ財宝に興味がなくても、この『太陽の宝玉』だけは絶対に必要って事だな。ま、わかんねえ事があったら俺の所に聞きにこればいいさ。よほどの事がねえ限り酒場にいる」
「最後に地下遺跡の事だ」
 と、未だ名乗らぬ戦士。
「これだけは最低限必要って事だけまとめて言うぜ。まず初めに、遺跡の中は階層によって時間の進み方が全く違う。体感での一時間を遺跡で過ごしたら、地上では一分、一秒しか経ってねえ、あるいは丸一日過ぎていたなんて事もザラだ」
「……。それから?」
「魔物についてだ。ま、基本的な事だが、金に余裕がある限り道具を揃えておけって所だな。魔物どもは炎、毒、氷、雷……予想もしねえような攻撃をしかけてきやがる。大体そんなところだ。質問は?」
「あんたの名前は?」
 戦士はその大柄な体で肩を竦める。背負った大剣の柄が背筋に押し上げられ、盛り上がって見えた。
「バルデスだ」

 ※

 新人冒険者たちの宿舎は、オイゲンとバルデスに説明を受けた〈総督府〉の北に位置する。
 宿舎の戸を開けた瞬間、エントランスに集合する人々の視線がウェルドに集中した。
 騎士の青年。弓を手にした灰色の髪の少年、黒い着衣の女……馬車で見た面々が集合している。
 七人。ウェルドは冷静に数える
[1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ