暁 〜小説投稿サイト〜
とらっぷ&だんじょん!
第一部 vs.まもの!
第1話 かんおけ!
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全員死んでたんだ、谷底にまっ逆さまでな」
「わぁったわぁった。じゃ、話をまとめるぜ。性別は男、名前はウェルド。間違いねえな」
「ああ」
 男は書類に筆を滑らせる。
「国は?」
「セフィータ王国」
「砂漠の国、か。懐かしいねえ」
「行った事があるのか? おっさん」
「ああ。俺がここに来る前は、船で商売をやってたからな。セフィータの港には何度も寄ったぜ」
「生憎だな。俺は海のない砂漠のど真ん中の出だ」
「そりゃまた、過酷な環境で育ったもんだな。いいぜ、生命力の強い奴は生き残る率が高い。で、身分は? これも決まりでな」
「狩猟民だ……まあ狩猟だけで食ってけるわけでもねえし、農民って事になるかな」
「じゃ、最後の質問だ。ここに来た目的は?」
「遺跡の研究。学術論文を完成させる為、だな」
 筆の音が止まる。
「お前、学者なのか!?」
 オイゲンは丸く見開いた目でウェルドの仏頂面を凝視した。
「何だ、いけないのか?」
「いけない事があるもんかい! あんた、苦労したんだろ。珍しいんだぜ、農民出の学者なんてよ」
「苦労? したさ。大学に入るのも……入った後も、な」
 ウェルドは頬から手をはなし、尋ねた。
「そういえば、学者風の娘がいただろ。あの子はどうしてる?」
「もう全員、宿舎に向かったぜ。お前だけ手当の為に遅れたんだ」
「あともう一人、学者っぽい男がいただろ。青髪の、浅黒い肌の男だ。あれは何者なんだ?」
「さぁな。仲良くなって自分で聞き出す事だ。ま、同業者だからお友達になれる、なんて風には考えない方がいいぜ。お前も承知の上だろうが、ここは『カルスの棺桶』とも呼ばれる町……並々ならぬものを秘めてやって来る者も多い」
「わかってらぁ」
「ならいい。じゃ、書類に間違いがないか確認してサインしてくれ」
 机越しに突き出された書類に目を通し、ウェルドはずきずき痛む右手で筆をとった。末尾の署名欄に筆を滑らせる。
「よし。じゃ、後は俺が担当する項目だけだからこっちでやっておく。行っていいぜ」
「宿舎の位置もわかんねぇのに放り出すってのかい?」
 背後のドアが開いた。
 大剣を背負った屈強な戦士が戸口に立っていた。
「最後の一人ってのはこいつか?」
「ウェルドだ」
 戦士が発散する闘志にも似た気配に圧倒されまいと、ウェルドはほとんど睨むような目をして名乗る。
「そうか。じゃあ、ウェルド、他の連中にしたのと同じ話をお前にする。この町で生きていくにあたって必要最低限のルールだ」
 ウェルドは椅子から立った。
「まず一つ。ここには身分も国籍も人種の違いもない。警邏組織も、軍隊も、私兵団も存在しない。町に住む者は誰であれ、ただの冒険者だ。この事をまず肝に銘じておけ」
「同じ内容を麓のランツで散々聞かされたぜ。話ってのは
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