第十一章 追憶の二重奏
第五話 手がかり 氷の女帝
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ければならないかも聞きたいんだが?」
「何でタバサがそこにいるの?」
士郎の声を華麗に無視し、ルイズが杖の切っ先を士郎の横に寄り添うように立つタバサに向けた。
「……タバサには調べものを手伝ってもらっていたんだ」
「調べもの?」
こてりと小首を傾げるルイズ。小鳥のようなその仕草は愛らしいと言えるだろう。しかし今、その動作が士郎の目には殊更恐ろしく映っていた。
「……ああ」
「何でわたしに聞かないの?」
「いや、最初は一人で探そうとしていたんだが、タバサが手伝ってくれると言ってくれてな」
「へぇ……そう」
小さく、吐息のような声がルイズから漏れる。
空気が一段と硬くなり、体感温度も一度以上下がったように士郎は感じた。口の中が乾き、ひりつく喉を空気だけが塊となって飲み下る。
無意識に下がりそうになる足を必死に押し止めた士郎は、震えそうになる声を必死に押さえながらルイズに問いかけた。
「それが、どうかしたか?」
「あら? どうかした? ……どうかしたか、ですって?」
ルイズの背後に湧き上がる殺意と言う名の炎が燃え上がるのを士郎は幻視した。姿なき炎の勢いは、士郎の必死に押し止めようとしていた足を後ずさりさせるだけの力があった。
「ええ。とっくにどうかしてるわね。知らないうちにちいねえさまは手篭めにされているわ、シロウを追いかけていた男どもを尋問すれば、最近シロウが学院の女子の間で人気が出ているなんて聞くわ、苦労して見つけたと思ったらタバサと抱き合っているわ……ええ、本当にどうにかなってしまってるわね」
「い、いや、それは色々と誤解が―――」
「あら? じゃあちいねえさまとは何でもないの?」
「…………」
「―――死になさい」
「ちょ―――」
両手を前に突き出し『待て』と訴える士郎に、笑みを浮かべながら杖の切っ先を向けるルイズ。
そこに、
「ねえタバサ。そこを退いてくれない? シロウを殺せないじゃない」
「駄目」
杖を手に持つタバサが立ちふさがる。
ルイズは士郎の前に立つタバサに杖を突きつけながら、にこやかに語りかけるが、タバサはそれを軽く一蹴した。
一瞬ルイズの顔が固まったのを士郎は気付く。
同時に、ルイズの全く笑っていない目と視線が合った。
「―――っ」
「本当にシロウは手が早いわね」
「っ、まてっ! ルイズ誤解だッ!!」
突き出した両手と顔を物凄い勢いで横に振る士郎に、ルイズは空いた手を頬に当て小さく溜め息を吐いた。
「はぁ……誤解、ねぇ」
チラリと自分に杖を向けたまま微動だにしないタバサを見る。
「ねえタバサ。何で駄目なの?」
「この人は傷付けさせない」
ルイズの問いにタバサは表情一つ変
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