第十一章 追憶の二重奏
第五話 手がかり 氷の女帝
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中に?」
「『欠片』は、その題名通り様々な本の欠片が記載された本。焼失、規制、水没……何らかの理由でその大部分を失ってしまった本の一部が集められている。何時、何処で、誰の手によって書かれたか一切不明。集められたものに区別はなく、伝承や何かの記録、物語から誰かの日記まで多岐に渡っている。同じものからは多くても三ページ、少ないのは一ページにも満たない。でも、その分集められたものは二千を超えている」
「『抑止力』についても……」
「開いて」
タバサの言葉に従い本を開く。開かれた本に向かって手を伸ばし、タバサはページを捲る。暫らくページを捲る音だけが響き―――止まる。
「……ここ」
「……これ、は……?」
タバサが指し示す先に視線を落とした士郎が戸惑った声を上げる。
指し示された先、本に書かれているそれ。
一ページにも満たないそれは、一般的に、
「日誌―――か?」
日誌と呼ばれるものであった。
ほんの数行程度の文章を読む士郎。
その中には、確かに探していたものが記載されていた。
「―――『抑止力』……に『門』、か」
「どう?」
「ああ……どうやら当たりのようだ」
タバサに頷き、士郎は改めて本に目を落とす。
士郎が求めていたものが書かれた文章は完璧なものではなく、所々虫食い状態であった。
『――――――前から突然姿を現した―――たちは、たった―――日で三つの国を滅ぼし。このままでは、遠からず全ての国が滅ぼされてしまうだろう。影響範囲、威力ともに、ぼくの使う『変わった系統』よりも弱い筈なのに、奴らの振るう力はあまりにも―――であり、たとえ一人を相手にしたとしても勝算は薄いと思われる。事実、先日エルフの戦士団がたった一人の長い槍を手にした―――に全滅させられた。それもエルフの強大な魔法でさえ一つの怪我を負わせることも出来ず。
不思議な―――と出会った。
最初は奴らの仲間かと思ったが、噂の槍の―――と戦っていたため、違うとわかったが、彼の力は―――と良く似ていた。
だから、駄目元で奴らについて聞いてみると―――った。
驚いた。
まさか知っているとは思わなかった。
ぼくらが必死になって探っても分からなかった奴らのことを、彼は知っていたのだ。彼が言うには、奴らは『抑止力』と呼ばれるも―――。
―――ああ、何て事だ。
もし、彼が言った事が本当なのだとしたら、ぼくは何て事をしてしまったのだ。族長として、少しでも皆の力になればと思い、この『変わった系統』の力を使った結果が、こんな事になるなんて。
―――早く―――早くしなければ。
早く『門』を閉じなければ、このままではこちらの世界
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