第四話
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ていた。念威爆雷自体はさほど威力は無い。だがワイヤートラップの起動自体は容易い。ニーナ自身が起動役ではなかったのだ。向けた視界の中、ニーナほどではないがアイクも同様の状況で足止めをくらっている。
咄嗟に体を捻ったニーナは飛んでくるそれらを打ち落とすべく両手の武器で全面に構えようとし、けれど迫り来る悪寒に気づけば首筋を鉄鞭で守っていた。
同時、至近での三度目の爆発と同時に重い衝撃が手に伝わる。
遠方からの射撃だ。ニーナは感で衝剄を飛ばしつつ場所を移る。
「……今のが狙いか」
警戒を解かぬままニーナは呟く。注意をそらし、位置を悟られぬようにした上での射撃。
放った剄も当たった手応えはなかった。
「フェリ」
『大まかな方向だけは。もう動いたと思いますけどね』
「ならいい」
追撃がないという事は既に移動した後だろう。警戒心を与え足を鈍らせる。完全に時間つぶしの戦法だ。
前情報でも相手の小隊は堅実な手を打つ事が分かっている。
『ニーナ平気か。こっちは定位置に付いたぜ』
端子を通しシャーニッドが声が届く。
「問題ない。追撃がないあたり時間潰しだ」
『相手方の姿は一瞬見えたが直ぐに消えた。二射目を我慢出来るあたりきっちりしてるぜ』
「ああ。分かっていると思うがまだ撃つなよ」
狙撃手は場所がバレないことが利点となるが攻め手ではそれを気にかけるのが難しい。四対六という数の差もある。シャーニッドの位置がバレるだけで非常に不利に働いてしまう。
ニーナへの追撃がない以上、確実に仕留められるのでなければ見送るのが当然だろう。
『こっちは敵陣は見えたが障害物がある。フラッグを打つには最低二射必要だ』
「時間稼ぎが必要か。……なら、前もっての通りで頼む」
敵はまだ動く気配がない。この状況は予想していた状態の一つだ。
戦力に差があるなら策に頼る必要は薄くなる。堅実に来るだろう相手が打つ手はニーナにも十分予想できている。だが分かるからといって手が打てる事ばかりでもない。
膠着したままでいるわけにもいかない。ニーナがアイクと連絡を取り進もうとした時、気配が現れる。
自分はここにいるとばかりの気配が一人、陣よりも前に出ていた。
『隊長。アレ、見つけましたよ』
フェリからの連絡がちょうどよく来る。狙ってやっているのではないだろうかと勘ぐってしまう。
『存在アピールしてる人の少し先に多分あります。誘導ですね』
「多分か」
『相手側も隠してますので。それにしても膠着したから態々壊してくれるとか優しいですね』
どうすればいいかわからない状態、というものがある。考えられる可能性が多すぎる事が原因だ。そこに適当な要因をブチ込むことで互の『何をすべきか』の選択肢
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