第四話
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あった。
最短ルートの開拓というタイムアタック地味たことが最近のレイフォンの趣味であった。給料は時給なので社畜に自分からなりに行っていることには気づいていなかった。
無意味に知らない道を通る等のことをしつつ満足しながら書類を投函していく。
太陽もほぼその姿を地上から隠している。場所の関係もあり人はおらず移動はスイスイ出来ていた。
どれだけ速度を落とさず高速に角を曲がれるかを目指し、見通しのいい開けた道の角に差し掛かる。人はいない。レイフォンは大きくハンドルを切る。
慣性が働きそれに堪えようとした瞬間、強い衝撃と共に車体が跳ねた。
突如下から突き上げるような衝撃が襲い、地面を揺らしていた。
「――っ、く!!」
ほんのわずかな浮遊感の中レイフォンは思った。今更ながらに後悔した。何故こんなバカなことをしたのか。ゆっくりと安全に曲がっていればよかったじゃないか。それなのに何故。
答えは直ぐに出た。
少しでも早く、速くなりたかった。制限された籠の中の鳥なれど、その中で可能な限り高く飛びたかった。
――後悔など、していない。
強くハンドルを握り体を車体につける。車体が地面の上を大きく滑り衝撃が体を走る。
可能な限り力を込め車体を制御する。咄嗟に活剄で足を強化しレイフォンは地を蹴り反動で姿勢を立て直す。
体が揺れカバンが宙で舞う。地面とタイヤの擦れる摩擦の不況音が響く。
スリップ音と共に車体は大きく弧を描くようにドリフトし、地面にそのタイヤ痕を残して動きを止めた。
完全に制御しきった。こけそうになったくせにその達成感でレイフォンは満たされる。
だがそれも一瞬だ。未だ続いていた地面の揺れに改めて気づく。
数秒で直ぐに止まった揺れはレイフォンには酷く馴染み深い物だった。
それは何度も経験した揺れに酷似していた。自然と体に剄が回る。
「――まさか、汚染獣。巣を踏み抜いたのか」
夕闇の中、レイフォンの瞳は外縁部の方へ見つめていた。
数秒後レイフォンは現実を見つめ、ドリフトのせいで散らばった封筒を黙って拾い始めた。
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