第四話
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かり辛いものがある。
ミィフィが退いたら戻るのが一番だが強化した聴力で聞くにまだ終わりそうにない。ツェルニ七不思議だの幻の地研会だのと全く関係のない話をしている。農地で深夜に踊る案山子の話など正直どうでもいい。しかも何故興味津々に二人は聞いているのだ。
レイフォンはグラスの飲料をちびちびと喉に流していく。話しかけるにも話題がない。そもそもフェリは静かになりたいといるのだ。
ふとフェリの視線が騒がしいテーブルに……ミィフィやシャーニッド達の方を向く。
「情報を扱う分野にロクな人間がいませんが、彼女もいずれは染まっていくんでしょうか」
「唐突に後ろ向きなこと言いますね。皆がそうなわけではないのでは」
「ルックンスを出している新聞部でしょう? それに兄がそうですので。実家の商売もそっちの分野ですから」
小さい頃からのフェリの実感なのだろう。ただ言葉からしてカリアンの影響が大きすぎる極例な気がしないでもない。
商売ともなれば真っ当で居続けることは難しい。好きなことだけ出来るのは趣味の内だ。フェリの実家は前に裕福だと聞いたが規模が大きくなればその分の苦労もあるだろう。
「私に質問をぶつけてきた彼女は楽しそうでした。好きなのでしょうねそれが」
「今の流れだとロス先輩のそれ……」
「嫌味ではありませんよ失礼な。ただ、自分のやりたいことをしているのだなと」
無理矢理に転科させられたフェリからしたら思うところがあるのだろう。
このまま後ろ向きな恨み節でも連発するのだろうかと危惧していたレイフォンは安堵する。嫌いだと言い切った後輩など反応を気にせずに済む愚痴のいい相手だ。
「幼馴染達と一緒に来て、好きな選択肢を選んでいく。帰る場所もその内の一つでしょうね」
「卒業後のことですか? ほとんどの人は故郷だと思いますよ」
「分かっています。けど考える余地はあります」
結果は変わらずとも過程が違う。たくさんの中から選んだ一つと最初からそれ以外がない一つ。
迷う必要がない。無駄な努力をする必要がない。
それで納得する人もいるが納得しない人もいる。
自分の意思の置き所に悩むのだ。
「何の心配もなく帰れて受け入れてくれる場所がある。こんな世界ですからね。それだけでも僕は嬉しいと思います」
帰ることは許されている。けれど自分が受け入れられるかレイフォンは分からない。
グレンダンそのものには居場所はあるだろう。けれど孤児院にあるのかは分からない。
何かあっても最後に頼れる。受け入れてくれる逃げ場所と人がいる。そういう場所があるのはひどく心の支えになる。
そういう意味でフェリは恵まれているのだろう。
無論、下を見たらキリがない話だ。探せばレイフォンさえ恵まれている例さえ世界のど
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