第四話
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低いと思っていた。殆どの人が同じ意見だっただろう。数の差というのはそれだけ大きい。
シャーニッドがグラスの中身を一気に飲み干す。
「……女性の方が多いのに何で野郎二人と顔突き合わせて話してんだおれ」
「もの凄い今更だなそれは」
「花が欲しいね。かといってあそこに割って入るのもな」
シャーニッドが女性の集まっている一角を見る。真面目そうな面々が話しているテーブルに静かなテーブル。どちらも特攻しようという気にはなれない。
「あの新聞部の子と歌ってきたらどうだ」
「おれの歌は大衆向けじゃなくどこかの誰かと二人きりの時に歌うものなんだ」
ミィフィの元気な歌声に喝采を上げている男女の集団を見ながらシャーニッドが呟く。
「まあ、今はそういう場所じゃないか」
楽しげな歌声にシャーニッドは耳を傾ける。
レイフォンとアイクは顔を寄せて小声で話し合う。
「ならなんで言っただろうな」
「経験豊富さのアピールじゃないですか」
「なるほど。それとアルフ、お前あんな台詞言ったことあるか。というか言えるか」
「いえ無理です。シャーニッドさん凄いです。あと僕アルセイフです」
こそこそと話し合っている二人にシャーニッドの呆れた視線が向く。
「おい、全部聞こえてるぞ」
武芸者相手にこの距離で隠せるわけがない。そもそも隠せるとも思っていない。
シャーニッドは凄い。そう言っていただけなのでなんら問題もない。
そのまま暫く学業や武芸のことなど適当な話題で会話は続いた。
暫くしてトイレに立ったレイフォンが戻ると先程まで座っていたはずの場所にミィフィが座っていた。シャーニッドと話している。メモ帳を開いているあたり質問でもしているのだろう。
どいて貰うわけもいかず視線を動かすと丁度空いているカウンター席に視線が止まった。
なおその隣にはフェリがいた。
「……」
「……」
互いに無言での視線の応酬。逸らしたら負けだと言わんばかりのそれをレイフォンは自然な動きですぐさま逸らす。
他に席に向かうべく出来るだけ自然に動こうとしたレイフォンの耳に何かを叩く小さな音が届く。フェリが自分の横を小さく叩いていた。レイフォンの視線が向いたことに気づくともう一度小さく叩く。
フェリの視線はレイフォンを向いたままだ。明らかに「来い」と無言でプレッシャーをかけている。何視線逸らしてんだとばかりにガンガン見てくる。
無視するわけにも行かず観念してレイフォンはその隣に座る。ヘタレなのだ。
「何で逃げようとしたんですか」
「誤解ですよ。ただ僕は気づかなかっただけで――」
「何で逃げようとしたんですか」
「……店内をふと見渡したく――」
「何で逃げ
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