第四話
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力系衝剄変化や錬金鋼に流す剄をコントロールしている。だから剄の全てを一つにではなく割り振って扱う。
例外は銃だ。銃は基本的に流された剄をそのまま剄弾として自動的に変換し放つ。その為、銃使いただ剄を銃に流すだけで良く内力系活剄に剄をより多く割け、平均的に他よりも身体機能を強化できる。アイクは今、それに近い状態だ。
活剄に剄を用い、気配がズレ、衝剄を用いようとしない。独特な動き方と距離感。
そして何より、体を貫く衝撃は剄のそれではなく純粋な技術のそれ。
それらが当てはまる条件に一つ、バンは思い当たりがあった。
「初めて会ったぞ。武芸者崩れ」
「本物だよ先輩殿。ただ家の家訓でな」
その答えが適当で、けれど悪びれもしていなくバンは歯を噛み締める。
己の中にある正義感が、それを認めなかったから。
アイクに頬を殴られても怯まず、バンは睨みつける。
「――破門兵が」
「破門兵、ですかアイクさんが」
「うん。多分だけど、そう考えれば今までの違和感にも納得がいく」
アイクを見てレイフォンが言う。
「何それ」
ミィフィと共にその左右の二人も視線を向けてくる。武芸者であるナルキも知らないあたり一般的な言葉ではないのだとレイフォンは知る。思えば実際に使ったことなど無い。
「全部がそうとは言わないけど、基本的には責務を投げ出した武芸者にいう言葉かな。蔑称だよ」
「簡単に言うと武芸者としての武芸ではなく、非武芸者のする武術をする人です」
クラリーベルが付け足すが分からなかったらしくミィフィは頭の上にはてなを出すように首をひねっている。
「一般人の武術? 何がどう違うの?」
「武芸者が収める武芸と剄脈を持たない一般人の収める武術は目的が違うんです。それなのに一般人の方に混じる武芸者が偶にいて、それは罵倒の対象になったりするんです」
「目的って言っても強くなるためなんじゃ」
「何のために強くなるか、ですよ。そもそもその二つが同じになるわけないんです」
合点がいったアイシャが言う。
「私たちは剄を使えない。対人と、対汚染獣?」
「正解です」
戦闘技術を修める人間は武芸者だけではない。護身などの理由から剄を持たない非武芸者にも武を習う人はいる。だがこれは武芸者が修めるそれとは違う。
武芸者が何のために鍛錬をして武を修めるかと言えば都市民を守るためだ。だが守るために相対する脅威とは何か。そこで違いが出る。
都市内部での事件は人間が原因だ。これは例え犯人が武芸者だとしても銃や電撃銃や薬などと使えば労力や危険性は多くなるが対応は可能だ。
武芸者がその存在を最も必要とされ、そして武芸者でなければ対応できない脅威。それ
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