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鋼殻のレギオス IFの物語
第四話
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 副隊長である四年のバンもそれに違わない。自分の役割として与えられた敵と相対していた。
 
 柄尻に輪のついた両手持ちの武器、南刀を手に、十七小隊のアタッカーである男をバンは足止めする。少し離れた場所では小隊長を含めた三人が十七小隊隊長であるニーナ・アントークを相手している。実力を考えればバンも向こうに加わるべきだが、もし抜かれた場合を考えればそれが適任だった。
 足止めだけでなく、可能なら倒す。そうすれば余計にこちらが有利になりもする。
 
「さっさと倒れろ」

 なかなか倒れない相手にバンは言う。
 相手小隊の情報は事前に調べてあり個人個人の情報もある程度は頭にある。今切り結んでいる相手、アイクはバンの記憶が正しければ武芸科三年で目立った噂もない。武芸科での成績や剄量もそこまで良いというわけでもない。そもそも実力があるのなら目をかける隊がいるだろうにそれもなく三年になっている事がそれを示している。
 事実、切り結んでいるが剣の技量はバンに比べ今一つだ。
 
「こっちにも事情がある」
「そうか。そうだな」

 どうでもいいとばかりに胴めがけ大振りに南刀を振るう。アイクの剣がそれを受けるがバンはそのまま踏み込み、小さく息を吐き体を震わせ振り抜く。押しやられ下がった相手と距離を開けぬよう付かず離れずバンはひたすらに南刀を振るい続ける。
 寄せ集めだろうと、そう隊長は言っていた。隊員も含め十七小隊は設立の当時からきな臭い噂もあった。最低人員数しかいないあたりそれはバン自身その通りだと思っている。
 それでもニーナ・アントークは得難い人材であったから隊長は十七小隊設立後に何度か勧誘に行っていた。だが結局首は縦に振られなかった。
 
 応援に行けぬよう、味方からの援護射撃が出来ぬよう位置を配慮しつつ前を取り続けて切り結ぶ。アイクの振るう剣は思ったよりも的確にバンの振う南刀を捉え向かう致命打を躱す。だがこのままなら時間とともに押し通せるだろう。 

(予定なら既に向こうの応援に行ってたな)

 ズレでもあるのか意外にアイクの動きは捉えづらかった。思っていたよりも上手く動き避ける相手にバンは内心呟く。最もそれを言うならばニーナの方もだ。五年の隊長と自分と同期の四年、新規の二年の三人がかりを未だに耐えている。驚異的というべきだろう。
 相手の足元に衝剄を打ち込みつつバンは距離を詰める。腰だめに振るわれたアイクの剣を打ち落とすべく南刀を動かす。
 武器が接触する直前、アイクの膝が一瞬、力が抜けたように落ちその軌道が狂う。咄嗟に捻ったバンの体の側面を剣の表面が撫でていく。伸ばされた相手の手、そこに巻かれた包帯が視界に映る。

(そう言えば医務室の常連という噂だったか)
 
 厚く巻かれたそれを見て思う。なら、そこに早いと
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