暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
As 08 「届かぬ想い、折れる刃」
[4/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
納まらずこの世界そのものに爪痕が残ることになるかもしれない。
 誰かを傷つけたりすればはやては悲しみ、自分のことを責めるだろう。俺は……あいつに破壊なんかさせない。

「――無理だ」

 ファラを起動してバリアジャケットを纏い、出現した漆黒の剣を左手で握り締めて右手を柄にかける。いつでも抜剣できる状態で、真っ直ぐシグナムを見返す。

「引け夜月」
「引くつもりはない。お前が止まれないと言うのなら……俺が止める!」
「……なら仕方がない。私は……」

 シグナムはゆっくりと左腰付近に剣を持って行きながら腰を落としていく。その動きが制止するのと同時に、彼女は鋭い視線を俺に向け口を開いた。

「お前を斬る!」

 言い終わるのと同時に加速するシグナム。俺も彼女が動き始めるタイミングに合わせて突っ込んだ。迫り来る刃に向けて抜剣。漆黒の刃と白銀の刃が交わり、火花が散り高音が鳴り響く。
 競り合いが始まった次の瞬間、シグナムは少し後退しながら剣を引いた。支えを失ったこちらの剣は加速し宙を斬る。身体も前のめりになっているため、即座に後退することもできない。

「ふ……!」

 スピードを重視した小振りの一閃。それに対して俺は、鞘を持っている左手を前に出しながら対物理用の防御魔法を展開する。

「く……」

 速度優先の小振りの攻撃だったとはいえ、きちんと体重が乗っている。体格や筋力の差も重たく感じる理由なのだろうが、最大の理由はシグナムの技量の高さだろう。
 かろうじて受け止められているが、それはシグナムの中に俺を傷つけたくないという思いがあるからだ。迷いのない本来の威力ならば、俺くらいの防御魔法で受け止めることはできていないだろう。今でも彼女が強引に振り切れば破壊されそうなのだから。
 受け切ることを諦めた俺は後方へと跳んだ。シグナムの攻撃の勢いもプラスされ、予想以上の加速で後退していく。彼女は即座に追撃を行おうと動き始める。それを確認した俺は、複数の魔力弾を生成し放つ。

「狙いはいいが……」

 シグナムは顔色ひとつ変えず、魔力弾が当たる直前で上空へ回避した。そのまま上昇し続け、剣を鞘に納めた。カートリッジが使用されたのを見逃してはいない。

「そんな攻撃で止められると思うな!」

 抜かれた剣の刀身は不規則な軌道を描きながらこちらへと伸びてくる。
 テスタロッサとの戦闘の際にこの技は見ているが、よく彼女は回避できたものだ。攻撃の読みづらさもさることながら、迫り来る刃には大蛇が迫ってくるような圧力がある。
 少しでも見切りを誤れば、少しでも萎縮してしまったら直撃する。直感的にそう悟った俺は、テスタロッサの軌道を意識して回避行動を始める。
 テスタロッサと比べて基本的な移動速度は劣るものの、彼女
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ