暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
As 08 「届かぬ想い、折れる刃」
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る時期は変わらないんじゃないのか?」
「…………」
「あいつが優しい性格をしているのをシグナムだって知っているはずだ。俺はあいつを……破壊者にしたくない!」

 俺の言いたいことは伝わっているのか、シグナムは視線を伏せて何かを考えているように見える。彼女の返事が来るのを待つべきなのだろうが、俺にはまだ言っておきたいことがあった。

「……俺ははやてからしばらく来ないように言われた。だからシグナム達が代わりにはやての傍に居てくれ。俺は……最後まで諦めずにはやてを助けるための方法を探すから」
「……お前の考えは分かった」

 シグナムの口調が穏やかなだったこともあり理解してくれたのだと思った。だがそれは……シグナムの衣服が騎士のようなバリアジャケットに変化したのを認識したのと同時に崩れ去った。彼女は視線を伏せたまま、さらに続ける。

「夜月、お前は主にとって大切な存在だ。人ではない私が言うのもあれだが……主のことを大切に思ってくれているお前は、我らヴォルケンリッターにとっても大切な存在だと言える。お前の言うことを信じないわけではない……」
「だったら……何で」
「それは……お前の推測はあくまで可能性に過ぎないからだ。お前の言うとおり、我らの方法は間違っているのかもしれない。だが、間違っていない可能性もある。お前が明確な方法を見つけているならまだしも、現状では止まることなどできん」

 シグナムはそっと剣の柄に手をかけた。
 確かにシグナムが言うことも間違いではない。俺の得た情報が間違っている可能性もあるのだから。今ここで引いたならば彼女と剣を交えずに済む……だが

「ひとつ聞きたい……これまでの主は、闇の書の完成後はどうなった?」
「それは……」
「……言えないってことは、俺の答えが間違っていない可能性が高いってことだ。蒐集をやめてくれ、シグナム」
「――ッ、もう……止まれんのだ!」

 迷いを強引に振り切るように、シグナムは音を立てながら剣を抜き放った。剣先をこちらに向ける彼女の顔は悲しげだ。

「夜月……今日限りこの件から手を引いて、事が終わるまで主の友人としての日々を過ごしてくれ」
「それは――」

 魔法を使える才はあっても、使うための術を知らなかった俺は両親の死をただ受け入れるしかなかった。もしもこのとき魔法が使える状態で一緒にいたのなら、ふたりを救うことができたのかもしれない。
 親の存在の大切さや失うことの悲しみを知りながらプレシア・テスタロッサを助けることができなかった。テスタロッサからは礼を言われ責められたりしてはいないが……あのとききちんと握り締めていたなら、と後悔は尽きない。
 ここで手を引いてしまった場合、シグナム達の方法が間違っていたとき俺は確実に後悔するだろう。いや、俺個人に
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