第四十九話 思春期B
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るのは助かる。そのため、司書権限で色々お願いをしたものだ。
本人は別の夢を目指しているため、俺のように司書資格を手に入れるために勉強する時間はない。だけど、無限書庫に入るだけなら昔の俺みたいに立ち入りパスを手に入れればいい。俺という司書の許可があれば、存分に本が見れる。いや本当に、彼女の知識欲にはいつも脱帽する。
「あ、お兄ちゃん。お仕事で思い出したけど、今日はみんなと遊べるの?」
「ん? アリシアか。そうだな、この1週間は書類をまとめるだけでいいから問題ないぞ。学校が始まる前にかなり減らしたし」
「本当! それじゃあ、やっとお兄ちゃんに私の新しいお友達を紹介できるよ」
先ほどまで他のクラスメイトと話をしていたアリシアが、嬉しそうに報告をしにきた。こちらに歩いて来る妹の髪がさらりと流れ、彼女の自慢である腰よりも長い金色の髪は艶めき、光沢を放っている。本人が気にしている低めの身長が、愛らしさをアップさせているが、顔のパーツは母さんとよく似ていた。たぶん大きくなっていけば、かわいいよりもきれいという形容詞が似合ってくるだろう。
俺にとって自慢の妹。彼女は知らないだろうが、俺はこの子に何度も救われてきた。俺を純粋に慕ってくれて、家族だと当たり前のように傍にいてくれる。友人が増え、環境が変わり、一緒にいる時間だって初等部当初と比べればかなり減ってしまっただろう。それでも、アリシアの笑顔は太陽みたいに照らしてくれる。
俺がアリシアを自慢の妹だと言えるように、俺も妹に自慢の兄だと言ってもらえるような人間になりたい。俺がどれだけ長い年月がかかっても、折れずに頑張っていけるのは支えてくれる人がいるからだ。
だから俺は……誰が何と言おうと、どれだけ月日が経とうと、シスコンは絶対にやめない。これ、心理。
「新しい友達…。そういえば、夏休みにできたって言ってたっけ」
「うん。お兄ちゃんがいるって話をしたら、「お姉様のお兄様なら、妹分としてきちんと挨拶をしなくては!」って言っていたから」
「あれ、俺が知らないうちに妹が増えていた」
妹増殖中。あかん、これちょっと俺の世間体大丈夫か。シスコンと言われても喜ぶだけだが、さすがに性癖を疑われたら泣くぞ。
「はい、みなさん。それでは、夏休みの宿題で出した観察日記を集めますが……、どうしたのアルヴィン君」
「先生、実は俺が知らないところで妹ができていたみたいなんです」
「さらっとすごいこと言った」
「この場合、俺に対する周りの目ってどんな感じになるんでしょうか」
「え、気にするのはそこなの。その妹さん隠し子だったの? でもテスタロッサさんはシングルマザーだから、隠し子って言わない。……お父さんの方に娘ができたってことなのかしら…」
「シスコン乙とか生暖
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