暁 〜小説投稿サイト〜
ワンピース〜ただ側で〜
番外7話『ドラム島で試し撃ち』
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この島に来たことあんのか?」
「んー……白熊でウサギでラパーンで……あの体型……んー」

 サンジとルフィの言葉にも反応せずに、ついにはうんうん唸りだしたハントとその様子を首を傾げて見つめている二人。そんなある意味呑気な彼らの空気を、獰猛で有名なラパーンが許すはずもなかった。

「飛んだ!」

 まさにウサギのような跳躍力で跳ね、そして熊のように鋭い爪を3人へと振り下ろした。

「うわ!」

 さすがに雪国の生物だけあって雪場であるにもかかわらず機敏な動きを見せる。その体型からは想像のできなかったほどの素早い動きに3人があわてて飛びのいてそれを回避。

「これがラパーン……この雪場でこの動き……で、この数か!」

 さすがにこの状況は分が悪い。それをサンジが感じ取った。
 ナミを背負っているルフィは攻撃をすることも防御をすることも許されない。あらゆる全ての衝撃がナミにまで響いてしまうからだ。既に限界近いナミにとってそれらの衝撃は命取りになる。
 そのことについて軽く口で説明されたことにより、やっとルフィとハントの表情にも緊張が走る。

「だったら俺が一気にカタを」

 一歩前へ出て構えるハントの肩を、サンジが「待て待て派手な技は使うんじゃねぇぞ!」

「ぇ、なん――」

 サンジの言葉の意味がわからなかったハントが尋ねようとして、ラパーンが襲い掛かってきた。
 ハントの顔面めがけて爪が振るわれ、それを後ろ背にしたままハントが避ける。

「――雪山でド派手な技使ってみろ! 雪崩に巻き込まれるぞ!」
「……なるほど」

 ハントがげんなりとした顔で呟き、それと同時にサンジの腹肉シュートがハントに追撃をかけようとしていたラパーンを吹き飛ばした。

 ――あ、思いだした。

 サンジがラパーンを蹴り飛ばした様子を見ていたハントが、ついに思考のモヤから解放された。

 ――グランドラインに入って雪が降った時に作った雪像だ。

 ルフィに殴り壊された雪像のラパーンとサンジが蹴り飛ばした本物のラパーンがハントの記憶のそこで繋がり、表面化した。

「……っていうかこのタイミングで思い出しても……なんか殴りにくくなっただけだし」

 一応は完全な独り言で、それを聞いている場合でもないためルフィやサンジの耳にもこの声は届いてはいない。返ってこなかった反応にホッとしたハントだったが、サンジの蹴りを受けて平然と立ち上がってきたラパーンに少しだけぎょっとした表情を見せた。

 本来なら一撃で決まる威力を秘めているはずのサンジ蹴りだが、ここが雪山という不安定な足場だけあっていちいち足をとられてしまい、まとも威力が出ず、脂肪や筋肉と熱い毛皮でおおわれてるラパーンには大したダメージにはならなかった。

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