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SAO─戦士達の物語
MR編
百三十三話 電話
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る事と言うのは有るが、アスナは逆にキリトに隠し事をするという事が少ない。
勿論全くない訳ではないが、其れをする場合大概は良い話か、よっぽど悪い話かのどちらかだ。

「少なくとも良い話……じゃなさそうだな。声聞いてるに」
「…………」
「なーにが有ったよ。親と喧嘩でもしたか?」
「えっ……」
どうやら当たったらしい。と言っても、まだ彼女と向こうで別れてから40分そこらしか経っていないのである。その間でこの少女に泣くほどの事が有ったとなると、まぁ家族関係。尚且つ厳しいと聞いて居る親とのトラブルくらいしか涼人には思いつかなかっただけなのだが……

「……正直、お前の家の事に俺が首突っ込んで良いもんかは分からん。話せないってんならそれでも一向に構わねぇけど。……どうする?」
こう言う事を言うのが果たして正しいのかは、涼人自身分からない。しかし彼女は和人の恋人であり、涼人にとっても大切な友人兼仲間である。彼女なりに和人には話せない事情が有るのは分かるが、ならば自分が例外であるなら、多少なり力になりたいとは思う。

「……ごめん、まだ少し、考えさせて」
「……ん!そうか!……しかし、こうなると聞いて良いもんか……」
「え……?」
唸りながら思わず呟いた涼人に、電話の向こうの明日奈が問う。
後ろ手に頭を掻きながら、涼人は言った。

「ん〜、いや、お前に前に言ってた酒のつまみレシピ聞こうと思ったんだけどよ、どうもそう言う気分じゃねぇだろ?お前」
「あ、んー……ううん。良いよ、もう出来てるし」
「あ?」
少し悩むように言った後、不意に、明日奈は声を明るくして言った。

「なんだお前。おちこんでんじゃねぇの?」
「まぁ、沈んでたけど……でも、少し元気出て来たかなぁって」
「はぁ?お前ってそんな立ち直り速い奴だったか?なんつーか、昔何かもっとこうドヨーンと……」
「あ、アインクラッドの話時のは良いでしょ!?それより、レシピだっけ?この前のは確か……この辺だよね?」
「…………」
慌てて話題を切り替え、向こう側でがさがさと何かをあさる音がする。その音を聞きながら、涼人はやれやれと首を振った。


「(ま、切り替えが出来るようになったって事で、成長って奴かねェこれも)」
自分で思っていて爺臭いなと、涼人は若干苦笑する。まぁ、同じ人間を長い間見ていると、自然とそう思えてくるものなのかもしれない。特にこの二、三年は、自分達も、周囲の人間達の環境も、本当にめまぐるしく変わって居たのだから、ある意味では、他の人間より人生経験が豊富と言えなくもない。
リョウにしろアスナにしろキリトにしろサチにしろ、既にそれらの経験を高々ゲームと言えるレベルは、とっくの昔に過ぎてしまった。

「(これがホントの廃人プレイヤーかねぇ。ま、其れも
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