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SAO─戦士達の物語
MR編
百三十三話 電話
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を終えて煮物の味付けをしていた和人が言った。中々反応が速い。

「どれ、つまみでも……あ、そういや……」
「ん?どうした?」
翠のおつまみ作りは、普段涼人の役目である。と言う訳で今日も適当に一品作るかと立ち上がり掛けた涼人が、不意に顎に手を当てて考えるように唸った。
様子に気が付いたらしく、首を傾げた和人に、涼人が言った。

「いや。こないだ美幸と明日奈に言いつまみのレシピねーかって聞いたらよ、明日奈がちょっと考えてみるとか何とか言ってたんだよな……あれできたんかな」
「へぇ。電話してみるか?」
「あ、いや。お前は味みとけ。自分でしてみるわ」
言いながら、涼人は携帯端末を操作しながら部屋を出て行く。現在時刻は午後六時四十分を過ぎた辺り。明日奈の家は六時ぴったりから夕飯が始まると言う話なので、普通に考えれば既に食事も終わって居るはずだ。
.
廊下に出るのと殆ど同時に、涼人は携帯端末を耳に押し当てていた。とりあえずてっとり速く連絡して、口頭で教えてもらえるならその方が速い。まぁつまみと言うよりは夕飯の追加の一品になりそうだが、それならそれで良いだろう。と、言う訳で……

「ふーむ……」
コールしながら涼人は唸る。三回コールしても出ない。まだ食事が終わって居なかったのかもしれないとリョウが思い始めたころ、留守番電話に切り替わる直前で、電話が通話状態に切り替わった。

「…………」
「?明日奈か?」
「……リョウ……?」
「……」
何時もならすぐに明るい返答が有る筈なのにも関わらず電話に出ても何も言わない事を訝しんで、電話口の向こうに声を駆ける。少し間をおいて返ってきたのは、まるで水に濡れたような声だった。

「……なんだお前。泣いてんのか?」
「な、泣いて、ないよ……」
そうは言っていても、どう聞いても声が湿っぽい。どう聞いても涙交じり、と言うか泣いて居た直後にしか聞こえない。

「……そうか?お前、そんな湿っぽい声だったか」
「…………」
「別段大した様じゃねェし、カズに変わろうか?」
「そ、それはダメッ!」
「?」
善意で言ったつもりだったのだが、意外にも強い拒絶の言葉が返って来て、涼人は少し驚く。正直な所、結城明日奈と言う少女はそれこそ滅多な事が無い限り泣くと言う事は無い。
その彼女が泣いて居る、あるいは泣く寸前のような声を出していると言う事は、これはもう彼女の支えともえいる存在である和人(キリト)の出番かと思ったのだが……

「ごめん……キリト君には……話せない、から……」
「……ふーん。そりゃまた随分と深刻そうだ事で……」
和人に話せない事情と成ると……これはいよいよ尋常ではない。何しろ話せない。と言うのはつまりキリトに秘密にする。と言う事だ。
和人はちょくちょく明日奈に秘密にす
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