暁 〜小説投稿サイト〜
SAO─戦士達の物語
GGO編
九十六話 力と速さ
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
。と、その時気付いた。

『音……!?』
先程のリョウの動きは、明らかに此方の鉄の音を聞き付けて向いたようにしか思えなかった。
思えば、此処にたどり着いた時、明らかにリョウは待ち伏せの構えを取っていたし、自分が出てきてから銃を発射するまでの反応も以上に速かったのだ。つまり、リョウは視覚以外の何らかの方法で此方の位置を探っていたのは明白だ。そしてもっとも可能性が高いその方法は……

『聞き耳スキル……!』
何故こんな簡単な事に気付かなかったのか。簡単だ。彼の装備やその入手法等に目が行き過ぎた上に、コンバートだと言うから完全にスキルの方に対してマークが甘すぎた……!

『くそっ……!』
余りにも不用意すぎる自分を彼女は怒鳴りつけてやりたくなったが、そんな事をしている暇は無く、なんとか抜けた二つの車両の先に、一か所だけ開いているドアを見つけた。
当然リョウからもあそこが開いて居る事は分かっているだろう。出た瞬間集中砲火を受ける羽目になるが……

『一気に抜ける!』
飛び出す瞬間姿勢を低くして一気に抜け、ふたたび車両前方方向へと走ればギリギリで抜けられるはずだ。
躊躇う事無く残りの距離を一気に駆け抜け、闇風は飛び出すようにそこから外に出る。そして一気に進行方向に飛び出そうとして……

「!?」
そこに、銀色の壁が有った。
否。壁では無い。ずっと隣の線路に並行に配置されていると思っていたリョウが上に乗っている筈の車両が、横に逸れ、自分が内部を駆け抜けていた車両にぶつかるようにその車体を横たえていたのだ。
そしてそれに一瞬驚いたせいで、闇風の体が一瞬だけ止まってしまう。慌てて、その車両に沿って走り出そうとして……

「よぉ」
「っ!」
目の前に、M2を構えたリョウが居た。

「いつの間に……」
「へへっ、気づいてなかったみてぇだな。最後の車両に入ってからは俺は射撃してねぇんだぜ?」
「え……!?」
ぽかんと口を開けて、闇風は唖然とする。全く気が付かなかった……

「ま、無理ねぇよ。走る時は他の事考えてる程スピード鈍るし、お前はそれを良く知ってるみてぇだった。俺が音で反応すりゃ、お前の場合ちっとでも焦ってくれると思ったぜ」
「じ、じゃあ……」
「おう、上手い具合に進んだ進んだ。作戦通りだ。ま、作戦通りに進まなきゃ俺が負けてたがな」
苦笑しながら言うリョウに、闇風は悔しげに唇をかむ。

「待ち伏せした時から、このつもりだったの?」
「あぁ。初めの時点で、強気なお前なら前に出て来てくれると思ってたからな。そこからなるべくお前の左側に弾丸が着弾するように調整して、中に入るのはまぁ状況打開するには当然だよな」
飛び込んで隠れられた際の事もリョウの計算の内である。音で気づいて居る事に気づくかどうかは正直賭け
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ