第三話
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度か軽く振るう。
比較的ゆっくりならば容易いが速度を上げていくと何度かクラリーベルは受け取り損なう。
「それならば電場を使って表面にナノレベルの微細膜でも張ればいいだろう。簡単に多種多様な特性が示せるぞ」
「そんなの使っていうちに剥がれちゃうじゃないか。後からの変更が出来ないのは妥協して形にすべきだよ」
「ならば内部を多層膜にすればいい。電荷を付加させれば出来るだろう」
「その案なら折り返し技法を使うほうが楽だって。刀の製法の応用がって言ってたでしょ。元さえあればデータ入力で弄って完成っていう形の方が現場を考えるなら」
ハーレイたちの会話は終わらない。今日はいつ帰れるのだろう。遅くなるようなら無視して途中で帰ってもいいだろう。
ふと思いついたレイフォンが不意に軌道を変える。クラリーベルの手は何もない虚空を叩いた。
引っかかったその姿にレイフォンはつい口元を歪ませてしまう。
「……ちょっと交代しましょう」
いい笑顔のクラリーベルが剣を取り素振りを始める。
やっちゃったなとレイフォンは手を構える。明らかにクラリーベルの視線はやる気だ。
タイミングを見過ごすわけには行かないと意識を尖らせたレイフォンの耳にノック音と部屋の扉が開く音が聞こえた。
「失礼します。書類貰いに来ました」
聞き覚えのある声についレイフォンが振り向くと知った顔がいた。
声をかけようとした瞬間、頬の辺りで風が動く。
「あっ」
クラリーベルのつぶやきが耳に届く。
自分が何をしていたのか。それを理解すると同時、薙ぎ払われた剣がレイフォンを吹っ飛ばした。
痛みが走るがレイフォンの体は反射的に自分から転がり受身を取る。
衝撃による僅かな意識の空白。だからレイフォンは自分の体勢に気づいていなかった。
「えっと、アルセイヌ君何してるの?」
声は真上から届いていた。
扉の方へと吹っ飛び……受身ではあるが傍から見れば自ら転がり床に倒れたレイフォンをレヴィは真上から覗き込む。視線を上げたレイフォンに何を思ったのか一歩下がり、スカートを抑える。
「えっち」
物凄い誤解だった。
「君、そういう子だったんだ。パンツ覗きたいのは分かるけどさ、人前ではダメだよ」
「誤解です」
「あ、でも二人きりなら良いって訳じゃないからね。誤解しちゃダメだよ」
弁解しようと体を起き上がらせる。レヴィはからかうように笑っていた。どうやら事情は理解している様だ。
思えば音もあったし、レヴィの位置からならクラリーベルの姿も見えているはずだ。分からないはずがない。
「レイフォン、君ってやつはそこまでして」
「お前、冷めた顔して熱いやつだったのか」
議論に熱中していたバカ二人は
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