第三話
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合わせていってやる」
親切心、からなのだろう。だがレイフォンとしてそれ以上踏み込んで欲しくはない。
何か言おうとするが、言ったところで理由を問われるだけだ。探られる様な、主に実戦データの様なものがない限りこれ以上弄られることもないだろう。なら、今は何も言わないほうがいい。
「それじゃ次は刀身の調整を――」
「おいアホ、要らん事をするな。本題に入る前にどれだけ時間を使うつもりだ」
「要らないことじゃないよ。この刀身は前のレイフォンのを復元したものだけど昔と比べて背は伸びてるし体重の変化でも重さや重心の位置を調整しなきゃいけない。僅かな差でどれだけ無意識下での伝達効率の違いが出ると」
「長い。それは本人の問題だろう。今回は錬金鋼側の技術の話のはずだ。やめろ」
「……ちぇ」
不満げなに呟きながらハーレイは手を止める。
「レイフォン、取り敢えず剄込めてくれる。壊れる寸前くらいまででお願い」
言われるままに剄を込めていく。周囲にバレぬよう抑えてだが。青い刀身が次第に赤みを帯びていき、白熱化して周囲の空気が熱を帯び始めたあたりで止める。
その様子を見てキリクが眉を潜める。
「錬金鋼が耐えられんか。聞いてはいたが本当にあるのだな。なるほど、確かに化け物じみている」
機械を操作していたハーレイがモニターをこちらに向ける。映っているのは二つの線グラフと多くの数値だ。
「赤いほうがシュナイバル時のデータで、青いほうが今のね。青いほうが緩やかになってるの分かるよね」
「確か熱量、でしたっけ?」
「そ。つまり熱が溜まりにくくなってるの。耐久性の向上って事。今見てもらったように錬金鋼が壊れる理由は過熱による破損だから、それを何とかしようと思ったんだ。で、取り敢えずいくつかのアプローチを試してみたわけ。その一つがそれなんだけど、表面触ってみてくれる」
「はい」
言われるままに刀身に触れる。真っ赤な刀身に。
――ジュ
「っ熱!!」
「あ、ごめん。氷持ってくるね」
「いや、普通にそこは気づきましょうよ」
クラリーベルにバカを見る目で見られる。
冷やした刀身に改めて触れると表面が凸凹しているのが分かる。小さく溝ができている、とでも言えばいいだろうか。
「熱による破損を防ぐ方法は大きく分けて三つ。変換効率を上げて熱を出さないか、耐熱性を上げるか、熱の放射を高めるか。それは表面積の増加と骨子密度で冷却効率を上げるっていうコンセプトだよ。刀身を広くとったのもその為」
「キラキラ光ってるのはなんですか?」
「微細粒子を刃の表面上に塗布したんだ。切れ味をあげようと思って。切断ってのは物理的には摩擦が関わるからさ。まあついでにね」
原理的なことはレイフォンには分からないが、
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