第三話
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いく。
ハンドルを握るジェットヘルの搭乗者は一般教養科を示す制服を着ており体の各部位にプロテクターを付けている。
路面バスが通る広い道から曲がり、やや細い道を走っていく。マンションタイプの住居が建つエリアまで進んだところでシティローラーが止まる。
アイドリング状態のまま車体から降りず、運転手は何かを探すように周囲を見わたす。だが見えづらかったのか、スモークシールドを上げ顔を出す。
「このあたりだったはずなんだけど」
運転者――レイフォンは小さく呟き、近くに見つけた地名に目的の場所のすぐ近くだと理解した。
現在、レイフォンは配達のバイト中だ。レギオスの配達物にはいくつか種類があり、大別すると二つ。外からか、中からか。外からとは勿論他のレギオスから送られてくるものであり、中とは同じレギオス内で配達されるものだ。
配達方法も大別すると二つに分かれる。郵便受けに入れられるものと受取人に直接手渡すもの。一般的な手紙や報告書などは前者で、後者は一定サイズ以上の荷物や現金や貴重品などが多い書留郵便などだ。この場合不在時には不在票が投函され後日ということになる。
レイフォンのバイト先である郵便局は一般的な範囲でそれらを扱っており、今は自分の受け持ちの分を配達している最中。あと少しで配達終了、というところだ。
目的のマンションの下にシティローラーを止めレイフォンはヘルメットを脱ぐ。これらはバイト先からの貸与品だ。最初の頃は扱いに困り転んだことも何度かあったが、今ではすっかり慣れたものだ。
シティローラーとは主に都市内を走ることを目的として作られた二輪駆動車だ。レギオスの外の荒野を走ることを目的とされたランドローラーの技術を基にされている。
都市内での使用、ということもありランドローラーに比べれば車体は小さく、出力もリミッターが付けられ制限がかけられている。
免許をグレードアップさせ制限を解除させるか、或いは上の車体に変えれば出力は上がるが、現状そう必要となるものではない。また、住民が気づけるように排気音も操作されている。
路面バスによる移動が基本であるレギオス内においてシティローラーを扱い機会は酷く少ない。
必要とあらば都市内を隅まで自由に行き来し、バスのように時間に縛られる事なく動く必要があるこの仕事はその数少ない一つだろう。
マンションの自動ドアを潜りエントランスを通る。掃除が行きとどき高い天井。上の下か中、といったところだろうか。オートロックはないがレイフォンがいる場所と比べればずっと上の居住空間だ。意味もなく気後れしてしまう。
「うわ、エレベーターある」
目当ての階まで上がり記憶していた番号の部屋の呼び出しボタンを押す。だが反応がない。
(留守かな)
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