第三話
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「お久しぶりです」
「ロンスマイアさんだっけ。久しぶり」
入学式以来、それもクラリーベルがレヴィを背負って爆走した以来の出会いだ。
「前の時もだけど、何ていうかそのさ、元気だね」
「無理に褒めようとしなくてもいいですよ。その節はすみませんでした」
「まあまあ。元気なのはいいことだよ。人一人背負って走ったりなんて私出来ないもん。いくら私が雲のように軽くったってさ」
「自分で言って虚しくないですかそれ」
呆れたようにクラリーベルが言う。
「まあ鍛えてますから。武芸者でなくとも鍛えれば人一人くらいなら何とか背負って動けますよ」
「私全然そっち方面駄目だから凄い憧れるよ。運動とか授業かダイエットくらいしかしないや」
「身を守ったり出来るようにと。嗜み程度ですけどね。あの時も肩で息してましたし」
「そっか。私も、一人だけでいいから背負えるようになりたいな。階段二段飛ばし出来るくらいでさ」
しみじみとレヴィは言う。
レイフォンは無言の抗議の視線をクラリーベルに向けるが、プイと視線を逸らされる。
書類はまだ見つからないらしい。やはり帰ったほうがよさそうだ。
レヴィに別れを言ってレイフォンたちは部屋を出る。
部屋を出る際、必死で探し回るハーレイたちの姿が視界に映る。探しているのか、それとも散らかし直しているのか部外者には分からない様なその探し方と乱雑に纏められた資料の束が目に留まる。
クラリーベルには部屋の掃除をするようによく言おう。
そうレイフォンは思った。
「部屋? 普通に片付けてるよ」
夕食の席。レイフォンに聞かれアイシャはそう答えた。
クラスやバイト先も違う三人だが夕食は一緒に取るのがほとんどだ。レイフォンが作った数品の料理がテーブルの上には並んでいる。レイフォンが作る料理は量が多い。孤児院で育ち一度に多人数分を作ることが習慣になっていたのと、自身が武芸者であり見積もる一人分が多くなってしまうことが理由だ。
夕食時は並ぶ料理をつつきながら近況報告をすることが多い。とは言っても知らせる必要のあることなどそうあるわけでもなく、単なる世間話がほとんどだ。
「どうしたの急に」
「この間知り合いの研究室に行ったら散らかっててさ。クラリーベルはそういうの苦手だから」
「そういえば、クラリーベルの部屋片付けてたっけ」
一般人からしたら少し気後れするほどの量だが三人はそれを当然と食べ進める。武芸者である二人は分かるが小柄なアイシャもそれと同じ程度に黙々と食べ進める。
「私の部屋も、好きに片付けていいよ」
「綺麗なら別にいいよ。それに女性の部屋に入るってのも気が引けるから」
「大丈夫。いつでも」
「そう? でも、女の子なん
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