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鋼殻のレギオス IFの物語
第三話
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除いてだが。
 誤解を解くべきかと振り返るとクラリーベルは素知らぬ顔で椅子に座りどこからか出したお茶を飲んでいた。剣は既に手元にはない。
 熱い目で見てくるバカ二人を冷めた目で見つつ、まあいいかとレイフォンは諦める。

「他の子にしちゃダメだよアルセイヌ君。心の広い私だったから良いけど、知ってる子が都市警のお世話になったら私悲しいし」
「誤解ですからね。他の人になんてしませんよ」
「え、じゃあ私だけってこと。私告白されちゃった? きゃー」
「……めんどくさいので話進めます。何しに来たんですか」

 このままでは進まないとレイフォンは冷めた目でレヴィの言を切り捨てる。だがそれが気に召さなかったのかレヴィは腕を組み、私怒ってますよ、と言わんばかりに視線を返し露骨に溜息をつく。

「あのね、一応先輩だよ私。もっとこう、恭しく可愛く尻尾振る犬みたいな態度とっても罰は……よし分かった。だからゴミを見るような視線をやめようか」
「気のせいですよ。それより何か用があったんじゃ」
 
 レヴィは部屋の中を見てハーレイに目を止める。部屋の中で一人だけツナギだ、ここの住人だとすぐにわかる。

「この部屋の人ですよね。実験室の使用許可の申請書、一応今日が締切なんですが」

 何の事だと思うレイフォンの見ている先、露骨にハーレイが動揺する。

「明日じゃ……というかキリク出してないの?」
「出していない。お前の仕事だろうそれは」
「無くなってたからてっきり誰か出したと」

 個々の研究室にも実験器具はあるが大型の物となると資金的、場所的にもいくつも持つわけにはいかない。その為、共用物として使いたければ申請書を出し、許可を出された日時に使うという事がある。その書類を出し忘れたらしい。
 ハーレイの視線は割り当てられた自分のデスク、書類や私物が溢れかえっているそこに向いている。

「あの、明日ということには」
「可能は可能ですが……この部屋は提出物が遅れることが多々ありますので、出来れば今日の方が。何かの際、その方が融通利かせられます」
「すみません、すぐ探します」

 ハーレイは机の上を漁り始める。あの中から紙一枚探すというのは至難の業だろう。
 
「いつも申し訳ありません、すぐに見つけますので」

 レヴィに椅子を勧めるキリクにハーレイの声が飛ぶ。

「キリクも手伝ってよ!」
「日頃から少しは片付けろと言っているだろう。全く」

 キリクも捜索隊に加わる。
 ポツンと残されたレヴィを見ながらレイフォンは考える。レヴィの見ている前で続けるわけにもいかないし書類がすぐに見つかるとも思えない。今日は帰ったほうが良いかも知れない。
 クラリーベルもその事を察したらしく席を立ってレイフォンの方に寄ってくる。

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