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渦巻く滄海 紅き空 【上】
二十七 十日目
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わっても、腑に落ちないといった顔つきで俯くアマル。その一方で火事に見舞われた村の建て直しを村人達は再開した。やけに身を粉にして働いてくれる神農という老人を賞讃しながら、彼らは村の復興に力を注ぐ。






夢だったのだろうか。

聴覚が回復し、急に騒がしくなる周囲。がやがやという音に包まれつつ、アマルは思う。けれど一度だけ意識を取り戻したあの刹那、彼女は確かに耳にしたのだ。金髪少年と話していた誰かが、彼を『ナルト様』と呼ぶのを。

(ナルト、か……)
その名がまるで神サマのように思えて、彼女は心に、魂に、その名を深く刻みつけた。
決して失くさぬように。決して消さぬように。決して忘れぬように。

あの耳に残った優しげな声を子守唄に、アマルは静かに眠りについた。いつか巡り合える時を夢見て。





この出逢いがアマルの運命を大きく狂わせる。
けれど病の苦痛から解き放たれ、彼女はようやく夢が見られるのだ。
―――――――――――今はただ、安らかに。


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