二十七 十日目
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つかその優しさが仇にならぬ事を願って、香燐はナルトの後を追った。鳥が一際甲高い声で鳴きながら、ジャングルへと帰っていく。木ノ葉の里を出発して、十日目の朝だった。
その日を境に、遺跡をうろつく人影がぱたりと途絶える事になる。代わりにその数日後、数人の影が人知れず出入りする事になるのだが、遺跡傍の住人達には知る由も無かった。
これは夢なんだろうか。
朦朧とする意識の片隅でアマルは思った。
混濁する澱みの渦へと深く沈む。何度も繰り返すうちに彼女は生きる希望を失った。諦めて死に急ぐ。三途の川を渡る寸前、彼女は誰かに手を引っ張られた。途端、浮上する意識。
翳む視界の端に映ったのは、見知らぬ子ども。金の髪と青い瞳が印象的な少年だった。
彼の「頑張れ」という励ましがいつまでも耳に残っている。何度も浮き沈みする意識の中で、彼女は何度も耳にした。その優しげな声を。
一度だけ意識が戻ったその瞬間、少年が近くで立っているのが見えた。窓から射し込む光の中、彼の穏やかな眼差しが脳裏に焼きつく。誰かと話しているようだったが、アマルの体調は話の内容を聞き取れるほどには、まだ回復していなかった。
次に目を覚ましたのは、見覚えのある場所だった。
煤けて褐色に染まった壁。張り出しの屋根を支える柱。粗末な藁葺の平屋。
気だるげに身を起こすと、見知った顔がこちらを覗き込んでいる。
村人達だった。
「……目が覚めたようだな」
「おい!気がついたぞ」
喜んでいるように見えるが、アマルにはとても信じられない光景だった。
自分を隔離したのはそっちじゃないか。散々厄介者扱いして、今更…。
彼女は口々に話し掛けてくる村人を猜疑の目で見た。
その中には見知らぬ老人の姿もある。やけに献身的に働いているが、何処かで会っただろうか。
ふと身体の調子が良い事に、彼女はようやく気づいた。額に手をやる。平熱だ。
身体を見下ろす。胸に巣食っていた腫瘍もきれいさっぱり無くなっていた。
「あんた、村の傍で倒れてたんだよ」
「病気だったのに出歩いちゃ駄目じゃないか」
「でも熱が引いて良かった良かった」
村が燃えた後の記憶がない村人達の話を聞き流し、アマルは「あの人は?」と開口一番に訊いた。あの金髪少年が自分の病気を治したのは確かなのだ。
礼を言いたい。話をしたい。そしてただひたすらに会いたかった。
だが村人達の話は、要領を得ないものばかり。
焼け爛れた村の傍で、自分はたった一人で眠っていたらしい。誰かが連れて来たのはわかるが、人影一つ見当たらない。なぜか病気も治っていたので、感染の恐れがないことを確認し、村に運び入れた。それから既に四日は経っているという。
村人の説明を聞き終
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