第一話 赤い転校生その十四
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「それでね」
「そうか、悪いな本当に」
「いいですよ、ただ」
今度は一年の娘が薊に言って来た。寮の部屋は洋風でベッドが三つある。そして机もあれば暖房にもなるクーラーもある。
その部屋のそれぞれの机の席に座ってだ、二人は薊に言うのだ。
「先輩拳法部に入られたんですよね」
「あとモトクロス部にもさ」
入ったとだ、薊も答える。答えながら自分の席に着く。
「入ったよ」
「そうですか、薙刀部とかじゃないんですね」
「薙刀はしないからな」
それでだというのだ。
「そっちは」
「そうですね、ただ薙刀は」
「強いって聞いてるぜ」
「強い、ですよ。特に」
「特に?」
「二年の人でかなり強い人がいまして」
「ああ、あの娘ね」
先輩も一年の娘の言葉に頷いて答えてきた。
「私もあの娘の話は聞いてるわ」
「あの人有名ですよね」
「まるで神様みたいに強いって」
「あとフェシング部にも」
「二年の娘でね」
強い娘がいるというのだ。
「最近そういう娘が目立ってきてるわね」
「不思議と」
「へえ、強い奴ねえ」
そう聞いてだ、薊は楽しげに笑ってこう言った。
「面白そうだね」
「って貴女まさか」
「強い人と闘いたいとかですか?」
「実はさ」
二人のまさかという顔にだ、にかりと笑って答える薊だった。
「好きなんだよ」
「やっぱりなのね」
「そうした人ですか」
「そうなんだよ、まあ元々身体を動かすことは好きだしさ」
薊は笑顔で二人に話していく。
「拳法も強い奴と闘えるってことでやってるんだよ」
「何か男の子みたいな言葉ね」
「そうですね」
先輩と後輩は薊の話を聞いて二人で顔を見合わせて話した。
「それだと」
「女の子でもこうした人いるんですね」
「間違って女に生まれちまったかも知れねえな」
自分で口を大きく開いて笑っての言葉だ。
「実はズボン穿いたら男って間違われるんだよ」
「そう?可愛いけれど」
「先輩美形ですよ」
二人は薊の顔立ちについてはこう返した。
「確かにボーイッシュな感じですけれど」
「もてません?男の子に」
「いや、そういう話はないな」
もてないというのだ。
「勝負をしたことはあるけれどコクられたことはないよ。むしろさ」
「むしろ?」
「っていいますと?」
「先輩達の方がもてるだろ」
薊はあらためて二人を見る、見れば先輩である花澤朱美はふわりとしたやや茶色がかった髪を肩にかかるぎりぎりで切り揃えておりはっきりとした目をしている、睫毛は長めだ。口元もすっきりとしていて鼻の形もいい。特に左から見ると綺麗さが際立つ。胸はあまいないが程よいスタイルだ。
そして後輩である竹達伸子は茶色の髪を何十人かいるアイドルのそれの様に癖をつけさせたうえで伸ば
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