第六幕その十二
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「姫様もドロシーさんもドレスだし」
「けれどそれだとかかしさん達が」
恵梨香はかかし達を見てナターシャに言います、今この場にいる人達はむしろドレスで正装している人達の方が僅かです。
「あまり」
「そうね。社交ダンスだと正装じゃないとね」
「合わないから」
「じゃあどうすればいいかしら」
「だったらもうこうしないかい?」
かかしがここで知恵を出してきました。
「オズの国の豊作をお祝いする踊りにしたらどうかな」
「オズの国ですか」
「それをですか」
「そう、マンチキンのお百姓さん達の踊りでね」
「あれですな」
ムシノスケはかかしの今の言葉に目を輝かせて応えました。
「秋に皆で踊る」
「そう、それだよ」
「あの踊りならいいですな」
「ムシノスケ先生もそう思われますな」
「はい、私にしましても」
その通りだとです、ムシノスケは懐から本を取り出しながらかかしに応えます、五人にその本にある絵を見せながらお話します。
「こうしたものだが」
「あっ、そうした踊りですか」
「そうして踊るんですね」
「その通り、踊りやすくてしかも明るく踊れるのだよ」
それがその踊りだというのです。
「だからどうかな」
「はい、それじゃあ」
「その踊りで」
「オズの国は毎年豊作なのよ」
ベッツイ=ボビンがとても明るいお顔で五人にこのことをお話します。
「貴方達の世界よりもさらにね」
「沢山のものが取れるんですね」
「そうよ、お米も麦もお野菜もね」
「果物もですね」
「他のものもね」
お肉やお乳、お魚もだというのです。
「農薬とかそういうものを使わなくてもいいのよ」
「それはいいですね」
恵梨香もそのお話を聞いて目を丸くさせています。
「私の親戚の農家の人がいますけれど毎年苺の採れ高に頭を悩ませています」
「少なくないかどうかをよね」
「多過ぎるとそれはそれで困るとか言っています」
あまり採れ過ぎると安くなったり売れなくなったりするからです、農業も商売ですのでこの辺りが難しいのです。
「それで」
「オズの国ではそうした心配はいらないから」
「そのことも気が楽なんですね」
「だから素直にお祝いが出来るの」
毎年の豊作、それをだというのです。
「凄く楽しくね」
「じゃあ今からその踊りを」
「皆もそれでいいかしら」
オズマはにこりとした微笑みで皆に尋ねました。
「かかしさんの提案通りで」
「はい、私達は」
「それでお願いします」
まずは五人がオズマに答えました。
「その踊りで」
「是非」
「私達もよ」
「それでいいわ」
次にはドロシーとベッツイが答えました、オズの国の人達を代表して。
「皆で踊りましょう」
「恵梨香達のお祝いにね」
「わかったわ。それ
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