オリジナル/未来パラレル編
第23分節 紘汰と咲 (1)
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室井咲は昔から強い子だった。あの戒斗が裏で認めるくらいには、強かった。
だから紘汰は忘れてしまった。どんなに心が硬くとも、彼女は小さな女の子だということを。
ずっと強がって、笑って見せて、何でもないように振る舞って。その裏にどれだけの怯えと悲しみを隠してきたかも知らずに来た。
隣で戦っていた紘汰は、能天気に感嘆するだけで、気づいてやれなかった。
ヘキサが死んで、紘汰はそれを嫌というほど思い知らされた。
“ヘキサ……ああっ、ヘキサ! ごめんね、ごめんね、助けてあげられなくて……ヘキサぁっ!”
直接見たはずのない光景を悪夢に見、フラッシュバックを起こす咲。紘汰は、我慢できなかった。
手を差し伸べた理由が愛情か友情か、今となっては判然としない。ただ、相手が室井咲だからここまでした、という気持ちだけは、確信を持って口に出来た。
その日もガイムグループのアーマードライダーたち、紘汰――鎧武、そしてナックルと月花は、街に出現したインベス退治に明け暮れていた。
『咲!』
『任せて!』
鎧武はコアスロットルとピーチエナジーのロックシードを投げた。月花はそれらを器用に片手でキャッチし、ドライバーにセットした。
《 ピーチエナジーアームズ ジンバーピーチ ハハーッ 》
月花がカッティングブレードを拳で叩いて落とす。
《 ドラゴンフルーツスカッシュ 》
回転の衝撃波でインベスを吹き飛ばし、180度全方位にソニックアローを放った。
インベスが爆散してすぐ、月花が二度目のソニックアローを番える。
『コウタ!』
『おう!』
月花は鎧武が走っていく間合いを見計らい、ソニックアローを放った。
鎧武の前にドラゴンフルーツとピーチのポインターが並んだ。
鎧武は自身のドライバーのカッティングブレードを切った。
《 オレンジスカッシュ 》
『セイハーッ!!』
ポインターによってブーストされたライダーキックが、最後の一体、ライオンインベスを爆散させた。
これにてこの場でのインベス討伐は終了した。
紘汰はオレンジの錠前を閉じ、変身を解除した。
「コウタっ!」
同じく変身を解いた咲が手を高く挙げてこちらに来る。
紘汰も心得て手を挙げた。二人のハイタッチが軽やかに鳴り渡った。
咲が笑っている――笑えるようになるまで何年かかったか。
「――さっさと爆発しろリア充」
「なんか言ったか? ザック」
「別に。てかそのハイタッチ俺も混ぜろ!」
ザックが紘汰と咲の間に入って二人の首っ玉に腕を回した。
「きゃー!」
「あははっ」
――インベスは減らないし、ヘルヘイム
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