祝勝会
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ける話ではなかったのだ。そもそも、クトゥグアから簒奪した権能を使っても大丈夫かをドクターや鈴蘭に相談している時点で、祐里が彼の眷属になったというのは周知の事実になった。それを聞けば、護堂の第一の騎士を自称しているエリカが嫉妬するのも当然である。
帰ってきた護堂に質問攻めするエリカ。護堂自身は何とか【炎の王国】の秘密(発動条件)を守ったのだが、祐里は守りきれなかった。
キスという、彼女的にとても恥ずかしい行為が条件なので、それを意識すればするほどに言動が怪しくなって行くのだ。
顔を真っ赤にして俯くその様子と、護堂の態度などを鑑みれば、幾度となく交渉事を行って相手の隠し事を見抜くことに長けているエリカが『恥ずかしいことをすること』が条件なのだと気がつくのは当然のことであった。
それから数度の質問で、条件は『キス』なのだと気がついたエリカ。祐里に先を越されたことに嫉妬を覚えながらも、二人目の眷属となろうとした彼女にストップをかけたのは、他ならぬリップルラップルであった。
彼女は、護堂から断片的に得られた情報から、『護堂が把握していない力がまだある』ことを見抜いていたのである。実際、神獣程度の力しか持たないハズの祐里が、どうやってルリム・シャイコースの動きを止めたのか、彼には分かっていなかったのだから。
それが完全に把握できるまでは、新しい眷属を増やすのは危険であった。
不承不承ながらもその意見に賛同したエリカ。そこから、ドクターやリップルラップルによる徹底調査が行われたのである。
その結果知れ渡った、彼女が手に入れた力。それが・・・
「それにしても、『幽霊と意思を通わせる』なんて、また変な力を得たもんだねー。元々姫巫女は幽霊とかを認識する力が常人より優れてる。それが、魂に深く関係するクトゥグアの力によって強化されたと考えるべきかな。」
鈴蘭が語るこの知識は、全てリップルラップルから教えられたものである。
「ま、ルリム・シャイコースは自業自得ってところだね。所詮幽霊。普通なら、まつろわぬ神にとっては小石と何ら変わりない。普通の魔術師にだって、一体一じゃなんの影響も無いだろうね。・・・でも―――」
そう。護堂が最後に言った台詞。『人間を舐めすぎだ』。これがそのまま、彼の神の敗北原因であった。
祐里は、周囲に漂う無数の幽霊に呼びかけたのだ。『一矢報いたくはないですか?』と。不条理に命を奪われ、悔しいのは人間も動物も、植物だって変わらない。そして今の彼女は、『対象が幽霊ならば』、例え虫や動物や植物とでも話が出来るのだ。
『一寸の虫にも五分の魂』。この諺が真実だったという事が判明した瞬間であった。生きている者全てに、等しく魂は宿っていた。
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