第六幕その五
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「お肉もお野菜も」
「そうなのね」
「そうです、エメラルドの都ですから」
あらゆるものが緑の国だからです。本当は茶色い筈のシチューも中に入っている色々なお野菜もお肉もなのでした。
全部緑色です、そして。
ナターシャもその緑色のボルシチを食べてこう言うのでした。
「味は変わらないです」
「ボルシチはこうした味なのね」
「ドロシーさんはボルシチは」
「実ははじめて食べるの」
「そうなんですか」
「そうなの、他のシチューは大好きでよく食べているけれど」
ボルシチはというのです。
「はじめてなの」
「そうですか、それではじめて食べてみて」
「美味しいわ」
にこりとした言葉でした。
「とてもね」
「それは何よりです」
作ったナターシャにとっても素晴らしいことです、だからです。
笑顔で自分も食べて言うのでした。
「どんどん食べて下さい」
「それじゃあね」
「はい、じゃあ」
こう答えてでした、そうして。
皆はボルシチも食べます、そしてここにあるのはボルシチだけではありません。パーティーには他のご馳走も一杯あります。
ベッツイはお皿を手に持っています、そのお皿にです。
カルロスが剣に刺している肉の塊、それを刀で切ってそのうえでベッツイのお皿の上に乗せていきます。そうして言うのでした。
「シェラスコだけれど」
「食べたことがあるわ」
「じゃあ説明はね」
「いらないわ。とても美味しいわよね」
「ブラジルだとね」
「よく食べるのね」
「アメリカで言うバーベキューみたいにね」
よく食べるというのです。
「僕も好きだよ」
「お肉をこうして食べるのはね」
「牛肉だけじゃないから」
用意しているお肉はだというのです。
「豚肉もマトンも一杯焼いてるからね」
「それは嬉しいのう」
船長さんもベッツイの横でお肉を食べつつ笑顔で言います。
「まことにな」
「そうですよね。じゃあ僕も」
「シャラスコを食べるのじゃな」
「どうして作るのか」
シェラスコだけでなく美味しいもの自体をです。
「食べる為ですから」
「だからこそじゃな」
「jはい、作りましたし」
それでだというのです。
「どんどん食べていきます」
「自分も食べないと駄目じゃな」
「それが美味しいものですよね」
「その通りじゃ、いや船におるとな」
「他に楽しみがないからですね」
「美味しいものがないとな」
どうしてもだというのです。
「困るんじゃよ」
「じゃあ船長さんは」
「これでも美味いものには五月蝿いぞ」
笑ってこうカルロスに言います。
「だからシェラスコについてもな」
「美味しくないとですか」
「悲しくなる」
怒りはしません、けれどそう思うことはどうしてもだというのです
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