オリジナル/未来パラレル編
第18分節 求めた答えは
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部屋の中は、一人用にしてはあまりに広い。
一面ガラス張りの壁から外の景色を眺めるように、その男――呉島貴虎は立っていた。
貴虎がふり返り、ガラスから離れてこちらにやって来た。近づいたことで顔立ちをつぶさに見つめることができた。
(ミッチくんが30代になって頬がこけたらこんな顔になるかも)
咲は12歳の知識にある限りの礼儀を総動員し、頭を下げた。
「室井咲です。今日はお時間を頂いてありがとうございます」
「座ってくれ。今日はどういった用で?」
貴虎に勧められた来客用ソファーに腰を下ろし、咲は緊張もあってすぐさま核心を切り出した。
「呉島さんの妹さん――ヘキサは、今どうしてるんですか?」
貴虎の、咲に注ぐまなざしの質が変わった。
「何故そんなことを?」
目を逸らしたら殺られる。そんなふうに感じる眼光を咲は初めて見た。
「突拍子もなくて悪いんですけど、あたし、キオクソーシツってのになりまして。ヘキサがどうしてるか思い出せないんです。光実く…光実さんに聞いても教えてくれなくて。呉島さんなら知ってらっしゃるんじゃないかって」
貴虎は答えない。
間が空いた。永遠にこのままなのではと咲が感じ始めた時、――ようやく貴虎が口を開いた。
「碧沙は海外留学中だ」
――呆気なく、味気ない声だった。
「こんな時に?」
「確かに『こんな時』だが、だからといって惰性で滅びを待たなければいけない理由はない。――妹が卒業するまでには全てに片をつける。さもなくば地球も人類も終わりなのだからな」
貴虎の言う通りだ。実感はないが、この世界では今年がヘルヘイムによる完全侵食のリミット。咲たちアーマードライダーは何としてもヘルヘイム化を食い止め、世界を救わねばならない。
「それ、ウソでしょう」
貴虎は訝しげに咲を見返した。
「『こんな時』だったらこそ、ヘキサは逃げない。今この時にヘキサが沢芽市にいないなんて、ありえない」
咲の知るヘキサなら、進学するなら沢芽市内に残るはずだ。一人で安全圏に行くことはありえない。就職するにしても、ヘルヘイムの森を最も確実に調査できるユグドラシル・コーポレーションを選ぶ。例え家のコネクションを使ってでも、ヘルヘイムへの対抗策を探る最善を尽くす。それが呉島碧沙だ。
咲は強く貴虎を見つめ返した。
「教えてください。ヘキサは、あたしの親友は、今、どこで、何をしているんですか」
――それは数分だったかもしれないし、数秒だったかもしれない。咲はただ貴虎から目を逸らさず見つめ続けた。
やがて貴虎が、疲れたようにソファーにもたれた。
「碧沙は、――死んだ」
「…………え?」
「死ん
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