例えばこんな時に人は強く在れるだろうか
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
らどんなふうに苦しもうが私は別に気にしないわ。オウカちゃんが貴方に与えた苦しみも、死んでいった人間たちの慰めにはならないだろうから。
ゆっくりと、ずるずると、暗い下水の奥へと沈んでゆきなさい。
9月16日 ジェーンの日記
私の恐れていた事態は起きなかった。
だが代わりにもっと最低最悪な結果が待っていた。
私は、馬鹿なのか。私情を優先した結果ゴエモンが現場に行くのをギリギリで止められなかったばかりか、オウカの暴走も状況についていけずにただ見てるだけだった。
悪態しか出てこない、イライラが止まらなくてアリスも怖がらせてしまった。頭を冷やすために睡眠薬でも齧って今日は寝る。
9月17日
オウカの鳴き声で目が覚めた。いや、泣き声か。
めそめそ煩い、と怒鳴ってしまった。駄目だ、今日も全然感情が治まっていない。
ゴエモンは謹慎室にいる。半ば自主的に籠っているというべきか。学園祭の空気もどこへやら、学生棟の中に辛気臭い空気が立ち込めている。・・・今日はゴエモンが部屋にいない。ラウラも来ない。ただそれだけのことがどうにももどかしい。
ウェージとアリスはあのオウカに潰された女の回収やらに関して色々と話し合い中だ。多分内に送られるだろう。あれがアートマン相手に何時まで人格が保てるか、今頃トラッシュがトトカルチョの準備でもしている所だろう。
のほほんがちらっと部屋に顔を見せたが追い返した。
イライラする。今まで仕事の成否など大して気に留めたこともなかったくせに、今回に限って何故こんなにもイラつくのだ。
いや、答えは出ている。それは、心が無いだのと言っていた私が今回ばかりは私情を挟んで動きを鈍らせたからだ。汐と焔の存在がばれるからなんだ。それのために私は―――ゴエモンを護らなくていいとでも言う気か。
9月18日
イライラも吹っ飛ぶ最低にハッピーなニュースが飛び込んできた。
汐と焔がゴエモンの所に遊びに行ってしまったらしい。ESP能力者と曲がりなりにもプロの工作員二人掛かりで、その目を掻い潜ったのである。アリスの読心は本心を深層意識下まで落として読めなくし、ウェージの目は普通に気配を消して、一般生徒や職員の配置まで利用した完璧なルートで逃走したらしい。
有り得ない。いくらアートマンの催眠学習があったとはいえ、いくら既に肉体及び精神の年齢が3,4歳程度には成長してるとはいえ。その世界で何年も生きてきた奴らだぞ?
私の遺伝子とゴエモンの遺伝子が、そこまで上等なものかよ?
幸い二人は自分たちの出生までゴエモンには喋らなかったらしく、ウェージが何とか回収して本部へ連れて帰った。
感情が2週半ほど回って少しだけ冷静さを取り戻した。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ