暁 〜小説投稿サイト〜
錬金の勇者
12『鍋魔人(?)との遭遇』
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談のような情報をたどってヘルメスの家を探し当てたらしいので、恐らくほかの錬金一家は見つけられなかったのだろう。加えて、トリメギストス家内でVR系ゲームに多少なりとも造詣があるのはヘルメス/水門だけだ。義兄はそれなりにゲームもしたが、ナーヴギア系のゲームは「苦手」だと言っていたはずだ。恐らくは、SAOを購入してはいまいし、茅場も彼を誘ったとは思えない。それに、他のきょうだい達はテレビゲームをやったことすらないだろう。

 結果として、ヘルメス以外の《錬金術師》がこの世界にいるとは考えがたい。

 ただし、《錬金術》が、茅場直々の改造によって。五感の他に《魔力》とでもいうべきものを取り込むようになったヘルメス専用ナーヴギアによって引き起こされる物とは別に、きちんとしたスキルとして出現した、というならば話は別だが、それといった情報は聞かないのでやはり《錬金術師》はヘルメスだけと考えてよさそうである。

 三つ目が、《錬金釜》が使い手が《錬金術師》であることを条件としない、ただのサポートアイテムであるという可能性。現在ヘルメスは、消去法でこれが一番可能性が高いのではないかとにらんでいる。これが事実であるならば、《錬金釜》に取りついているジンは、クエストフラグMobの扱いになると思われる。

 となると、茅場晶彦は現実世界の《錬金釜》の特徴を実にうまくSAO内のアイテムに盛り込んだと言える。まったく、《錬金術》スキルの再現精度と言い、彼本人が錬金術師だったのではないかと思えるほどの作り込みである。一体誰がこれほどの情報を、茅場晶彦に吹き込んだのだろうか。

 化け物ジジイ……と一瞬考えるが、即座に否定。あのジジイが茅場晶彦に協力的になるだろうか。確かに興味深いことに首を突っ込む老怪ではあるが、自らの《秘跡》である《錬金術》をおおっぴらに公開することはないような気がする。

 となると、考えられるのは――――

「……クソ親父か……」

 ヘルメス/水門の実の父親である、ギルバート・ヘルメス・トリメギストス。巨大会社《トリメギストス・アルケミー・カンパニー》の代表取締役けん総合社長でもあるあの男なら、利益を見込んで《錬金術》の詳細情報を渡しそうである。あの男は世の中で大切なものは1が金で2が金、3、4が金で5が金、それ以外の物が来るのは20番目あたりからであるという、世にも最悪な男である。金の亡者にもほどがある。

 それに、ギルバートの金の亡者ぶりは、一般市民たちにも知られていることである。《TAC》は、《錬金術師》の社長という裏の顔だけではなく、家電製品から建築業まで、広げまくったふろしきを、きちんとコントロールする一流企業としても名高いのだ。そんな会社の社長が、ぐうたらなカネばっかりの生活を送っているという情報は、何度もゴシップ
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