第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
三十六話 嵐去った後……
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「今日の僕って不幸だよね、泣いてもいいよね」なんて事を考えていた。あ、そういえば山菜集めた篭を置いてきちゃったなどうしよう。
「弦州、地子が見つかったと聞いて来たのですが……これはどういう事ですか?」
僕が負の感情に襲われている所に新たな人物が現れる。茶髪のリラックスストレート、深い緑の瞳をした女性で服は黒袍に八藤丸文大文白の袴を身に着けておりこの神社の責任者だと思われる。
弦州と呼ばれた地子の父親や周りの人物が礼を取り現れた人物に敬礼する。
「名居様!こやつは我が娘を拐かした悪漢です「違います!助けてくれた恩人です!」と何やら地子に吹き込んでいるようで今から断罪する所なのです!「だから駄目だってば!名居様!話を聞いてください!というかこのアホお父様を止めて下さい!」俺の地子にこんな穢れた言葉を言わせるとは!もう許さんぞ!この薄汚れたボロ雑巾が!」お父様言い過ぎ!絶対後で後悔するから!」
地子とその父の漫才にも見えるやり取りに名居と呼ばれた女性や周りの者達も若干引いていた。というか色々言われ過ぎて流石の僕の心も砕けそうだ。
「…とりあえず落ち着きなさい弦州、地子話を聞かせてもらえるかしら?」
「名居様!なりませ「お父様はもう黙ってて!実は――――」
名居と言う女性のお陰で何とか誤解は解けそうだ。それにしてもあぁ本当に今日は空が青いな、それに比べて今の僕の心は傷ついて血の色みたいに真っ赤だよ。
「……それは新手の遊びか七枷?」
突然声をかけられ視線を向けると意外な人物が僕を見下ろしていた。
「これが遊びならどんなに幸せな事か…お願いこの縄解いてよ月詠」
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
『誠に申し訳ありませんでした!!』
神社の社務所の奥の広間に名居と呼ばれていた女性を始めとするこの神社の関係者が上座に腰掛けている月詠の隣に居る僕に向かって深々と土下座をし謝罪の言葉を搾り出す。特に地子の父親は知らなかったとはいえあれだけ罵詈雑言を吐いた事を気にしているのだろう、畳にめり込むんじゃないかと思う程に頭を床に擦り付けている。
隣りに居る月詠は肘掛に体重を預けながらこの状況が可笑しいのだろう、口を押さえて笑い続けていた。あの後地子から僕の事を聞かされた名居達は蜂の巣を突いたかの如く慌てふためき大混乱に陥ったのだが、月詠が見事に鎮め僕を客としてこの広間に通させた。
この神社は月詠を祀っている神社の一つで今日は偶々此処に居たのだそうだ。そして名居と呼ばれていた女性は『名居 穂波(ない ほなみ)』と言ってこの神社の神官の責任者で、地子や父親の『比那名居 弦州(ひなない げんしゅ
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