第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
三十六話 嵐去った後……
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いながら綺羅にそう言うと綺羅も笑いながら「そうですね」と答え、僕の方に向き直りながら頭を下げてくる。
「御迷惑をお掛けするやもしれませんがお世話になります」
この子は本当に真面目だね、そういう事だったら伝えておかないと。
「ルーミア、ちょっと郷の方に問題が起きてるんだ。だから二人は暫く神社に住まわせるって神奈子に伝えてもらえるかな?」
それを聞いたルーミアは真面目な顔付きになり問い返してくる。
「…そういえば聞いてなかったわね、結局どうなったの?」
「うん、実はね―――」
僕は郷の現状を伝え、先ほど言った様に地子を送り届ける為にルーミア達と別れた。別れ際に綺羅から念の為結界を出入りするのに必要な符を預かり、郷に向け飛び立つルーミア達を見送った後地子の家を目指し飛び立つ。辿り着いた先であんな目に遭うとは露知らず。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
「この悪漢め!思い知ったか!」
「だからお父様違うんです!違うんですってば!話を聞いて!」
「分かっている!この変態が人間の皮を被ったみたいな奴に何か吹き込まれたんだろう?この汚物め!」
「だーかーらー話を聞いてってば!」
「地子、怖かっただろうもう安心だ!すぐにこやつを成敗するからな!」
「駄目ですってばーーー!!」
僕の前で微笑ましい親子愛?が繰り広げられており、縄で縛られ芋虫の様な格好で地面に転がされてる僕はそれを生暖かい視線で見ていた。そして視線を空へと向け「あぁ空が青いな。」と現実逃避を始める。
どうしてこんな風になったんだっけ?確か地子の案内で住んでる町に辿り着き地子に言われるままその町の神社の方に向かうと神社の境内で数人の人物が何やら言い争っていて、その内の一人の男性が近付いていた僕達に気付くと「地子!無事だったのか!」と叫び声を上げながら駆け寄り地子を抱きしめたのだ。
黒髪のツーブロック、黒い瞳でこの神社の関係者なのか白衣と浅葱色の袴を身に着けている。年齢は見た感じだと綺羅と同じ位かな?
まぁここまでは感動の再会みたいな感じで良かったのだが、男性が僕に視線を向けて言い放った言葉が、
「貴様か!俺の可愛い娘を拐かしたのは!」
その叫びと共に放たれた見事な飛び蹴りで僕は吹飛ばされあっという間に簀巻きにされたのだ。そして今に至る。
今尚僕を断罪せんとする男性に必死になって「待った!」をかけている地子達の喧騒を聞きながら空を眺め今日起こった事を思い返してみる。只山菜を取りに行っただけなのにルーミアに蹴られ、郷を壊され、チルノに氷塊をぶつけられ、飛び蹴りをくらい、罵詈雑言を浴びせられ、簀巻きにされて芋虫状態。
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