第1部
第1楽章 内乱
第2話 開幕
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連邦軍の車列が内務省国内軍に護衛されて進んでいく。スラム街へと移動しているのだ。その中に山田絢一等軍曹の部隊もあった
朝食の後、ブリーフィングで作戦の説明があった。今回、彼女たちの旅団に与えられた任務は、特別区の反政府武装勢力の殲滅だった。軍と内務省国内軍との、以前から続いていた叛乱鎮圧作戦の一つだ。
反政府武装勢力の連中は元々、諸外国から日本に来た移民だ。大戦当初の混乱で被災した移民への支援に政府の手が回らず、戦略兵器によって壊滅した都市を特別区として、彼らをぶち込んだ。その為に、特別区の治安は急速に悪化し、複数の民兵組織が作り出され、それが、反政府武装勢力へと発展した。それと、政府側の民兵組織もある。
これだから政治家は信用ならない……。絢はそう思いなが外を眺める。
爆発と共に、新たな煙がスラム街から立ち上る。未確認情報ではあるが戦車も在るとの事。情報元は内務省だ。どうやら義父が情報を回しているらしい。
一方、ブリーフィングでは、全く逆の事を言われていた。ただのゲリラ狩りで、相対する敵戦力は少数。武器はゲリラのお友達であるAKとRPGで、精々、迫撃砲がある程度、だそうだ。弾薬はNATOの物だ。内部に武器商人が入り込んでいるらしい。彼らに接触して武器を密売してもらう必要があった。最近は、後方での武器の横流しが横行している所為か、弾薬が回ってこない。
状況としては、陸軍は西側、国内軍が東側から街へと突入しており、敵を駆逐している真っ最中だ。私達の属する大隊の任務は、友軍の確保したエリア―――もっとも、政府側民兵組織のテリトリーなのだが―――を保持する事だった。支援は狙撃小隊がエリアの高層建築物に潜み、その他の支援部隊も中心部からカバーしてくれる手筈だった。
私達が来る前に、戦略爆撃機であるB−1Rが、絨毯爆撃を繰り出しており、大戦で街は廃墟と化していたが、さらに酷くなっている。また、それに追い討ちを掛けるように砲兵部隊もフル稼働中だ。全く、無茶苦茶だ。
「もうすぐ安全地帯!
ようやくこの鬱陶しい迫撃砲からおさらばできるぞ!」
カーナビを見ていたであろう兵士がそう言うと無線から歓声が沸きあがった。友軍の確保している地点までの道のりは安全とは言いがたく、内務省国内軍が車列の護衛をしてくれたが、ルート付近では戦闘が続いていた。瓦礫だらけの道路を軽装甲機動車が駆け抜け、爆発で生じた破片が装甲を叩く。
「頭を出すなよ、餓鬼ども!
危ない仕事は内務省の連中に丸投げだ!」
絢はそう言いながら国内軍の部隊を観察する。市街戦に対応するために開発されたレオポルト2PSO戦車とBMP-T戦車支援戦闘車のそれぞれ2両が、通過する陸軍部隊を守るように、交差点に陣取り、交差す
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