第1部
第1楽章 内乱
第1話 後方基地
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八分間を乗り越えたって、生きて帰れる保証はないのに、な……。戦場を渡り歩くという事は、生と死の狭間を綱渡りしているのと同じだ」
三村はそう言うと再び哀しそうな表情を浮かべた。死んだ仲間達のことを思い出しているのだろう。彼は幾多の仲間の死を見てきたのだ。
「そうだった。食事の後にブリーフィンだ。俺達の出番らしい。どうやら旅団は“仕事”に出るようだ……」
「任務なんてまだ無茶ですよ。まだ再編制中です!?」
「その通りだ。ある程度の安全を保証ができるそうだが、詳細は不明だ。無事に帰れると良いが……。どうやら、我々は司令部にとって、大きすぎず、小さすぎずのお手頃な兵力らしい。一仕事して欲しいようだ。部下を纏めといてくれ。すぐに出発するかもしれない。全く迷惑な事だ」
「分かりました。旅団とは言っても、三分の二程度の兵力でしょうね」
「上層部の考えている事は分からん。反政府勢力殲滅計画の一環みたいだし、補充兵を実戦に馴らす為じゃないか?
まあ、八百万の神のご加護があらんことを」
「神だけでは足りませんよ、悪魔の加護すらなければ、ね……。では、野戦レストランに居ますので」
「それもそうだな……。んじゃ、また後でな」
三村はそう言った後、屋上へと続く階段を登っていった。少女はそれを見送ることなく、その場を去った。行き先は食堂だ。絶望に打ちひしがれながら、絢は歩みを進めた。野戦レストランは数少ない楽しみの一つだが、今はそんな気にはなれなかった。経験則で言えば、この任務は外れだ。
三村俊也少尉は外へと出ると、櫓の中に入った。兵士達が中で街を監視している。特に問題はないようだ。
兵士達が三村に向かって敬礼すると、彼は少し哀しそうな表情を僅かに浮かべ敬礼する。櫓の兵士はまだ訓練を終えたばかりのヒヨッコだった。まだまだ戦争に出すには早すぎる。
「緊張しているのか、新兵諸君?」
「いえ、自分らは大丈夫です。少尉殿」
兵士の一人がそう言ったが、彼にはそれが虚構だと分かった。兵士達の目には落ち着きが無く、呼吸も荒い。前線に配備されたての案山子の表情だった。
「嘘だな。少し手が震えており、呼吸が荒いぞ。ここに来て何日目だ?」
三村がそう言うと兵士達は少しビクつき、また一人が口を開いた。見ているだけで心配になってくる連中だ。
「三日目になります、少尉殿」
「そう緊張するな。そんなに硬くなっていたら、すぐに集中が途切れる。精々、武装勢力の攻撃くらいさ」
三村はそう言いながら笑うと、装甲板の影から双眼鏡を覗く。そして蘇る物量の波。
奴らの兵力は圧倒的だった。こちらが一個師団で守っていたとすれば、敵は最低でも3個師団を差し向けてくるような有様だった。
2機の戦闘機が基地の上を
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