第1部
第1楽章 内乱
第0話 プロローグ
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な涼しい顔をしているんだ?」
楽なのは楽なので、そう言われてもどうしようもなかったが……。
ちなみに、この学校に来る前の経歴は、別の陸軍幼年学校に居た事になっており、本当は軍の実験体ではないかと噂されていた。最も履歴が偽造されているのは間違ってはいないが、自分自身が何者であるか分からない為、半分、合っていて、半分は未定だ。義父も私の本来の素性を教えてくれなかった。
そんなこんなで日常を過ごし、訓練生の友人とともに、深夜ながら寮で新たな年を祝っていた。それも僅かな時間だったが……。
突然、警報が鳴り響き、地下シェルターに潜った。そこのシェルターの中で、機構が同盟から宣戦布告されたことを知った。
全軍に動員命令が下され、絢は一等兵として第42師団に配属された。目的地は九州北部だった。朝鮮軍が対馬海峡を越えて着上陸作戦を開始したからだった。
絢は常に激戦に巻き込まれた。北九州から福岡の一帯を占領した朝鮮軍が、中国地方へと関門海峡を越えて侵攻し、それを防ぐ為の下関攻防戦を戦った。九州方面軍の反攻と同時に北九州へと逆上陸し、九州地方から朝鮮軍をたたき出す事を作戦目標とし、凄まじい損害を出して、あまつさえ敗北したオペレーション・ハンマー・ヘッド・シャークに参加し、命からがら逃げ帰りもした。その時、所属していた第42師団は壊滅し、第5師団に編入された。
そこからが地獄だった。勢い付いた朝鮮軍は一気に九州と四国を制圧し、破竹の勢いで進撃。大損害から軍がようやく立ち直り、防衛ラインを構築したのは山口県の錦川から島根県の県境だった。だが、そのラインも少しずつ後退し、今日では鳥取から岡山にある伯備線近郊まで押されていた。その間、絢の部隊は常に殿を勤め、一戦一戦を戦うごとにメンバーが入れ替わって、さらに補充も少なくなっていた。
彼女自身も一等軍曹に昇進し、現在は第5歩兵師団第13歩兵戦闘旅団第13歩兵連隊第1大隊第2中隊第1小隊の小隊付一等軍曹となり、この前線後方の作戦基地である第43基地で再編制が完了するのを待っていた。
それが彼女にとっての歴史だった。
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