暁 〜小説投稿サイト〜
闇夜の兵士達 〜戦争の交響曲〜
第1部
第1楽章 内乱
第0話 プロローグ
[4/5]

[1] [9] 最後 最初 [2]次話
たならば、次はどう出る。戦争は続いたままだ。答えは簡単だ。昔のように敵地に兵士を送り、占領するだけだ。


 世界規模で見れば同盟軍の進路は幾つかあった。インドシナ半島とオセアニアの島々を伝って、オーストラリアへと攻め込むルート。インド半島から帝政イランへと前進し、そこからトルコとアラビア半島に向かい、ヨーロッパとアフリカ大陸に突入するルート。ウラル山脈からレナ川、朝鮮半島東岸をを結んだ線に沿って前進し、シベリアとヨーロッパを遮断、それぞれ東西に侵攻し東はアラスカ、西は東ヨーロッパ平原のドニエプル川からヴィスワ川を結んだ線までを占領するルート。南米ではカリブ海と中米を通ってアメリカ本土へむかって侵攻を始めた。アフリカはずっと戦争が続いていた。機構側と同盟側に分かれて断続的な講和を繰り返し、この世界大戦でまた大規模な戦闘が起きている。
 だが、第三次世界大戦から4年が過ぎ、戦争は膠着状態に陥っていた。東南アジア、オセアニア方面は、オーストリアと第二列島線を目前に一歩も進めておらず、イランのテヘランを目前に大攻防戦を繰り広げていた。シベリアではヴェルホヤンスク山脈と樺太でロシア軍が踏みとどまっており、ヨーロッパ方面ではウラル山脈で激戦が繰り広げられていた。南米の同盟軍もコスタリカで押し留められていた。日本では九州地方と四国地方、沖縄を奪われ、中国地方の伯備線で敵の攻勢を喰い止めていた。アフリカは一進一退としか言いようがない状況で、ただの泥沼だ。
 月面では同盟軍が機構軍を駆逐し、そして消息を絶った。彼らの最後の通信では、未確認の電波が探知されている、だった。これが何を指すかは不明だ。機構軍は損害が甚だしく、月から撤退した。最後に脱出した兵士達が宇宙装甲艦―――スペースシャトルを元に、巨大化させた物。武装は、反動によって生じる軌道のズレで、地球の重力圏に堕ちない様にする為、反動のない高出力レーザーを使用―――で離脱中に、月面で激しい戦闘によって生じる閃光を目撃した、との未確認情報も有ったが真偽は不明だった。また、月に向かった同盟の宇宙装甲艦が全て消息を絶っており、月に何かがあることは確かだった。
 機構軍は大戦初期に行われた戦略兵器による攻撃で大混乱を起こし、撤退を繰り替えしたが、同盟軍に出血を強いる為に、強固な防御拠点を、お互いが援護し合える距離に縦深に設置し、拠点の間をすり抜けて弱体化したところを、機動部隊で殲滅した。だが、敵の物量は膨大で少しずつ地歩を削られていった。


 山田絢は、男に拾われてから開戦まで、全国各地にある連邦陸軍幼年学校の一つに居た。そこで徹底した訓練を受けた。元々、その訓練は彼女自身にとって楽な訓練だった。よく教官にこう言われた。

「普通の生徒なら訓練が終わった後は、疲労に満ちた表情を浮かべるのに、お前は何でそん
[1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ